ジャンル 日本の歴史と文化

早稲田校

江戸幕府武士社会の歩み方 旗本という「家」組織の姿

  • 冬講座

戸森 麻衣子(東京農業大学講師)

曜日 金曜日
時間 15:05~16:35
日程 全7回 ・01月10日 ~ 02月28日
(日程詳細)
01/10, 01/17, 01/24, 02/07, 02/14, 02/21, 02/28
コード 140244
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 20,790
ビジター価格 受講料 ¥ 23,908

目標

・江戸時代の政治制度・社会制度に対する理解を深める。
・武士社会の実態を知ることを楽しむ。

講義概要

冬講座では旗本の「家」組織を統一テーマに据え、様々な角度からその社会的特徴について考えてみたいと思います。旗本は、諸役職に就任して幕府政治を支えていますが、一面では、領地を有し、家臣団を抱えて運営していく「経営者」でもあります。旗本とは実のところどのような存在であったのかを紹介していきますが、概要をお示しするというよりは、さまざまな事例を通じて旗本の実態を知っていただくことに重点を置きます。なかなか衝撃的な内容が書かれた史料もあります。講座を終える頃には、みなさんの旗本に対するイメージは大きく変わっていることでしょう。なお、2023年刊行の拙著の内容とは重複しません。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/10 旗本とは何か?―江戸時代初期における旗本の成立過程 戦国大名徳川家康の家臣だった武士に限らず、どのような人物が徳川幕府に召し抱えられて「旗本」になっていったのか、旗本の家禄制度はどのように確立していったのか、など、初期の成立過程を確認してみます。
2 01/17 旗本の同族団・縁類・家族 旗本の本家と分家、婚姻によって縁戚どうしとなった家の関係のありかた、お付き合いの様子などを紹介していきます。また、旗本の親子・兄弟の間で交わされた書状などから、彼らの交流のさまを探ります。
3 01/24 「昨日までは百姓、今日から武士」−旗本家臣の実態 村の百姓が旗本家に雇用されて旗本の家臣となることは、特に江戸に近い関東地方出身者においてはよく見受けられました。そうした彼らが残した史料から、旗本家臣の実態について具体的に明らかにします。
4 02/07 知行所に「迷惑」ばかりかける旗本たち 江戸時代後期、経済的に困窮した旗本の中には、なにかにつけて知行所の百姓に御用金を命じたり、お金を強引に借りたりする謂わば「たかり屋」が増えていきます。また、旗本自身が無能であるため家政がむちゃくちゃになり、知行所百姓がそれを収拾しなければならないことさえありました。そのような旗本の「だめんず」物語を紹介します。
5 02/14 旗本屋敷と旗本の所持する「不動産」 旗本の拝領屋敷は、あくまで幕府から「貸与」された土地でした。では、旗本は屋敷地や田畑などの不動産を所持できなかったのかというと、そうとは言えません。旗本の財産のうち、不動産の問題に焦点を当てます。また、旗本屋敷の平面構造についても説明したいと思います。
6 02/21 菩提寺と墓制 旗本の菩提寺はどのように形成されたのか、また、菩提寺と旗本家の関係がどのようなものであったのかについて確認します。そして、旗本や旗本家族の墓の様相や、先祖祭祀の姿について具体例を挙げつつ紹介します。
7 02/28 明治維新後の旗本たち 明治維新後、多くの旗本が静岡に移住しました。しかし、静岡で待っていた生活はなかなか厳しいものでした。結局、維新後の旗本はどのような道を選択していったのか、「維新後の旗本物語」で連続講座を締めくくります。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆江戸時代の武士制度に関して高校の日本史教科書レベル程度の知識がある方でしたら全くの初心者でもご受講いただけます。

講師紹介

戸森 麻衣子
東京農業大学講師
1975年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻博士課程修了。専攻は日本近世史。幕府直轄領(天領)の支配のしくみや、旗本・御家人などについて研究をおこなっている。著作に『江戸幕府の御家人』(東京堂出版、2021年)、『大江戸旗本 春夏秋冬』(東京堂出版、2023年)、『仕事と江戸時代―武士・町人・百姓はどう働いたか―』(ちくま新書、2023年)、『長崎奉行遠山景晋日記』(共編、清文堂出版、2005年)などがある。

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