ジャンル 現代社会と科学

早稲田校

ウクライナ戦争の終局を考える

  • 冬講座

伊東 孝之(早稲田大学名誉教授)

曜日 水曜日
時間 10:40~12:10
日程 全6回 ・01月22日 ~ 02月26日
(日程詳細)
01/22, 01/29, 02/05, 02/12, 02/19, 02/26
コード 140730
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

以下の問題について理解を深める。
・戦争が終わるということはどういうことか
・ロシアとウクライナはどのような戦争目的を追いかけて、どの程度それを達成できそうか
・米国、英国、EU、中国、インドなど主要大国はどのように対応したか
・戦争が終局に向かうときに他のソ連諸国、東欧諸国はどのような影響を受けるか

講義概要

ロシア=ウクライナ戦争は勃発してからまもなく満3年が経過しようとしている。開戦直後に和平の試みがあったものの破綻して、その後双方とも戦争努力を倍加させている。死者は双方あわせて20万人を越えたと推定される。どちらの側でも互いに憎悪の声が高まる一方で、24年半ば頃からチラホラと和平への呼び声が聞こえるようになった。24年8月には相互に発電所・燃料貯蔵庫破壊を自粛する協定を結び、首脳会談を開こうという動きがあった。それはいったん頓座したが、どちらも勝利への展望を掴むことができないまま、これ以上破壊と殺戮を続けることは困難という確信が深まっているように思われる。戦争終了へのたしかな歩みが始まっている。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/22 戦争の終わり方について どの戦争も同じ終わり方をするものではない。しかし、一定のパターンというものがある。先人の研究を繙きつつ、今回の戦争の経過をたどって終わり方を探ってみよう。
2 01/29 イスタンブル講和交渉 実は停戦提案は開戦の日からウクライナ側から出た。その後何度も停戦会談、オンライン交渉が行われて、1ヶ月後にトルコのイスタンブルで代表者会議が開かれた。その詳しい交渉過程が最近米国の有力紙に発表されているので、それに基づいて跡づけてみよう。
3 02/05 ロシアとウクライナの講和戦略 ロシアもウクライナもそれぞれ戦争目的をもっており、それに基づいて講和戦略を練っている。まだ戦争中なので、戦争目的や講和戦略は100%正確には把握できないが、明らかとなった限りで、それを跡づけてみよう。
4 02/12 国際政局の動き(米、英、EU、印、中) 戦争と平和の行方は交戦国の意思が最も重要であるが、同時にそのときの国際政局にも左右される。米国の大統領選がどういう結果となるかは大きな影を落とすだろう。イギリスはウクライナの「同盟国」を名乗っており、あまり動揺がない。EUも同様である。しかし、どの国も「ウクライナ疲れ」が目立っている。ロシアは経済制裁の影響をヒシヒシと感じている。その中で中国、インド、グローバルサウス諸国の影響が高まるだろう。それが講和交渉に与える影響を探ってみたい。
5 02/19 ドーハ交渉とクルスク作戦 米誌がすっぱ抜いたロシア=ウクライナ間のドーハ交渉はウクライナのクルスク作戦で頓挫した感がある。頓挫したということは交戦国がまだ「方針」を選ぶ余地があると感じていることを示している。しかし、状況は交戦国にとってますます厳しくなっており、どのような新たな「方針」を選ぼうとしているかを見たい。
6 02/26 今後の展望 戦争の終了については交戦国内でも国際場裡でもさまざまな見方があり、数ヶ月という予想もあれば、数年という予想もある。講義の時点ではおそらく終わっていないだろう。しかし、戦後処理の問題として戦災補償、制裁解除、国際システムの再建、ウクライナのEU、NATO加盟などさまざまな問題が残されており、そうした国際政治の課題を展望したい。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆下記は参考図書としてお読みいただけると、より理解が深まります。(購入は必須ではありません)
・松里公孝『ウクライナ動乱 - ソ連解体から露ウ戦争まで - 』(筑摩新書2023年)
・アレクサンドラ・グージョン、鳥取絹子訳『ウクライナ現代史』(河出新書2022年)
・小泉悠『ウクライナ戦争』(筑摩新書2022年)
◆休講が発生した場合の補講日は3月5日(水)を予定しています。

講師紹介

伊東 孝之
早稲田大学名誉教授
1941年三重県三重郡八郷村生まれ。東大教養学部教養学科国際関係論分科卒業後、同大学院社会科学研究科博士課程満期退学。ベルリン自由大学などに留学。北大スラブ研究センター、早大政経学部で教鞭を執る。比較政治学が専門。著書に『ポーランド現代史』など。
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