ジャンル 現代社会と科学

早稲田校

アメリカ2024年選挙をアメリカ政治史に位置付ける

  • 冬講座

今村 浩(早稲田大学名誉教授)

曜日 木曜日
時間 15:05~16:35
日程 全8回 ・01月09日 ~ 02月27日
(日程詳細)
01/09, 01/16, 01/23, 01/30, 02/06, 02/13, 02/20, 02/27
コード 140705
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・転換期にあるアメリカ政党制とアメリカ政治において、2024年選挙はいかなる意味を持つか考える。
・他の民主国にはあまり例がないアメリカ政治に特有の争点と独特の選挙制度を知る。

講義概要

本稿執筆時点の9月では大接戦のアメリカ大統領選挙も、開講時には決着しているはずである。ただし、混乱なく政権が移行することを望むものの、予断を許さない。大統領選挙が日本人に理解し難い理由は、まず国家の成り立ちが日本と根本的に異なること、それに対応して選挙制度が異なり、しかも多様である点にある。その点に焦点を当てて制度を解説する。240年にも及ぶ世界最古の政党政治の歴史の上で、一つの転換期にあるのかもしれないアメリカ政党制の変遷を辿り、この変化が2016年選挙からの動きである点に目を向けたい。最初に、初めて受講する方を念頭に置いて、極めて分かりにくい選挙制度を解説する。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 01/09 単一国家と連邦国家そして国家連合 国家の3要素の比較とアメリカの特徴
当初は国家連合として出発して連邦国家に変貌したアメリカ合衆国の歩みを見る。
三権分立の神話と司法審査の在り方の比較
2 01/16 アメリカ大統領候補者指名過程と本選挙の制度 アメリカ大統領候補者指名過程と本選挙の制度を解説する。一回では概説とならざるを得ないことをお断りしておきます。
3 01/23 アメリカ政党制の特徴と歴史 アメリカ政党と政党制の歴史を辿れば、ほぼアメリカ政治史に重なる。こんな国は、多分世界でもアメリカだけだろう。事実上の2段階選挙の第1段階は、完全に政党が戦場となる。24年選挙は、この点で異例であった。最初期から現代までの政党内の大統領候補者指名過程の変遷を概観する。
4 01/30 政党改革の経緯と影響 1960年代末から70年代にかけて、アメリカの社会と政治は大きな変動を経験した。この時代を肌で知る人々は、現在のアメリカの分断よりも深刻であったというし、私もそう思う。政党が大統領選挙に果たす役割も大きく変化した。それをもたらした「政党改革」party reform の経緯を見てみたい。
5 02/06 地方選挙化した大統領選挙 激戦州の結果とその役割
今次の大統領選挙は、少数の州の結果の重さが際立った。その功罪と改革の方向を探る。
6 02/13 アメリカ政党制とアメリカ政治の行方1 今回の選挙の結果によって内容は変わらざるを得ぬから、現時点では内容を確定しがたい。そこで、アメリカにおける保守とリベラルについて概観しておく。
7 02/20 アメリカ政党制とアメリカ政治の行方2 前回の内容を前提として、では、トランプ共和党が勝てば保守の時代、ハリス民主党が勝てばリベラルの時代が来るのだろうか。一概にはそう言い難いのは、トランプ氏の稀に見る個性とともに、対立軸の捻じれが生じている点も寄与している。
8 02/27 アメリカ政党制とアメリカ政治の行方3 最後に、新政権の国際関係への影響と日本の対応について考察したい。私は、どちらの分野でも専門家とは言い難いものの、40年近くアメリカ政治を見てきた中から、いくつかの教訓を取り出して解説したい。それは、アメリカが超大国と化したことで、特殊アメリカ的な偏向が世界に押し付けられたことである。イ.無条件降伏主義、ロ.集団的自衛権の活用、ハ.内戦の延長としての国家間戦争が挙げられる。ハ.には南北戦争の影を見ることができよう。

講師紹介

今村 浩
早稲田大学名誉教授
三重県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、大学院を経て、社会科学部教授を令和6年3月に定年退職しました。政党研究から出発して、アメリカ政党を題材に選び研究を進めるうちに、政党一般というより、アメリカ政治における政党、アメリカ政治一般へと研究の焦点が移っています。分担執筆『オバマ後のアメリカ政治』、『アメリカの選挙デモクラシーとトランプ大統領』いずれも東信堂。他論文多数。特に趣味というものはなく、無芸大食。政治以外の関心領域は、軍事問題。『修道女フィデルマ』シリーズが、最近の愛読書です。
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