ジャンル 世界を知る

早稲田校

伝説と中世ヨーロッパ 《タンホイザー》の背景を探る

  • 冬講座

石井 道子(早稲田大学教授、早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所長)

曜日 金曜日
時間 13:10~14:40
日程 全4回 ・02月07日 ~ 02月28日
(日程詳細)
02/07, 02/14, 02/21, 02/28
コード 140325
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 13,662

目標

・ヨーロッパ文化における古典古代から中世、ロマン派への神話と文芸の伝承を理解する。
・深い解釈を元にして中世を舞台にしたオペラを楽しむ。

講義概要

ワーグナーのオペラ(楽劇)《タンホイザーとワルトブルクの歌合戦》は伝説的なドイツ中世の詩人タンホイザーが主人公です。作中にローマの女神ヴィーナスが登場したり、タンホイザーが13世紀末の詩人たちとヘルマン伯の宮廷で歌合戦をするという、様々な時代の文化を混ぜ込んだ構成になっています。有名な曲も多く、ご存知の方も多いことでしょう。本講座では、ワーグナーが素材として扱った「ヴィーナスの洞窟」と「ワルトブルクの歌合戦」について考察していきます。「洞窟」が重要な場所に設定されている理由、「歌合戦」での勝ち負けとは何か、などについて古典古代神話・中世文芸にさかのぼり、広い視野から解説をしていきます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 02/07 《タンホイザー》物語の概要 ワーグナーのオペラ《タンホイザーとワルトブルクの歌合戦》の物語を紹介し、全体像を概観します。有名な曲をいくつか聞き、ロマン派作曲家が融合させたローマ神話と中世ヨーロッパのイメージに触れましょう。
2 02/14 洞窟と神話 オペラの前半は「ヴィーナスの洞窟」が重要な場面です。ヨーロッパ神話における洞窟は、古代ギリシア神話にさかのぼる異世界設定です。ヨーロッパの神々と洞窟との関係をみていきましょう。
3 02/21 「ワルトブルクの歌合戦」の真実 オペラのタイトルになっている歌合戦は宮廷に詩人たちが集い、歌の技能を競ったという華やかな文化をうかがわせるエピソードです。けれども、「ワルトブルクの歌合戦」伝説に登場する詩人たちが実在なのか、創作上の人物なのか、そもそも誰が記録したのかすら謎に包まれています。伝説を伝える13世紀のテキストをもとにして、中世の詩人たちの実像に迫ります。
4 02/28 ワーグナーの「歌合戦」 伝説をもとにワーグナーが作り出した「歌合戦」を考察します。ワーグナーはテーマを変え、主人公タンホイザーの内面の問題を裁く場として歌合戦を利用しました。中世の「歌合戦」と比較しながらワーグナーが作中で詩人たちを通して表現したメッセージを読み解きます。

講師紹介

石井 道子
早稲田大学教授、早稲田大学総合研究機構オペラ/音楽劇研究所長
東京大学大学院修士課程修了後、早稲田大学文学部助手を経て理工学部勤務、2004年より教授。専門分野はドイツ語学文学。ドイツ語教育と、神話や伝説を中心とした講義に携わっている。著作に『ミンネザング―中世恋愛抒情詩撰修』(共著)、「ドラゴン伝説」「グレゴリウス伝説」「メルジーネ伝説」等を扱った論文がある。
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