ジャンル 人間の探求

早稲田校

哲学史から解き明かす現象学

  • 春講座

長坂 真澄(早稲田大学教授)

曜日 木曜日
時間 13:10~14:40
日程 全6回 ・04月18日 ~ 05月30日
(日程詳細)
04/18, 04/25, 05/09, 05/16, 05/23, 05/30
コード 110502
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

講義概要

20世紀の初め、ドイツの哲学者フッサールにより創始された現象学という哲学的運動は、21世紀の今日も、様々な形で批判的に吟味されつつ受け継がれ、新たな問いの源泉となり続けています。本講座では、現代の現象学が、何を問題にし、何を記述しようとしているのかを、西洋哲学史上の古来からの問題――可能性と現実性をめぐる問い――へと立ち戻ることにより、解き明かすことを試みます。
参考図書『マルク・リシール現象学入門 : サシャ・カールソンとの対話から』マルク・リシール、サシャ・カールソン著、澤田哲生監訳(ナカニシヤ出版、2020年)を読んでいただくと理解がより深まります。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/18 プラトンのイデアと現象学 フッサール現象学においては、イデア、エイドス、ノエシス、ノエマといった、プラトンも用いていた術語が、基礎的概念として活用されている。第1回講義では、プラトンのイデア論を背景として、フッサールの語る形相直観やイデアチオーン(イデアを観る働き)について、プラトンの何を継承し、何を継承していないかを明らかにしつつ、概説する。
2 04/25 アリストテレスのプラトン批判と現象学 アリストテレスはプラトンのイデア論を批判するが、経験から出発しつつも、純粋な形相(エイドス)、純粋な現実態について語る。第2回講義では、形相の概念がフッサール現象学においていかなる形で継承されているかを概説した上で、アリストテレスによる相対主義批判を背景に、フッサールによる相対主義批判を概観する。
3 05/09 カントの『純粋理性批判』と現象学 カントは『純粋理性批判』において、認識が成り立つ仕組みを考究するとともに、何かが概念として可能であることから、そのものが現実に存在すると推論するような、可能性から現実性への飛躍を批判する。第3回講義では、カントの批判を踏まえた上で、フッサール現象学を、可能性についての学問として提示する。
4 05/16 シェリングの積極哲学と現象学 シェリングは、カント哲学を概念の内部にとどまる哲学、すなわち消極哲学と名付け、自らは、概念に先行して実在するものから出発する哲学、すなわち積極哲学を展開する。それは、何であるかは規定されえないものの、必然的に存在するものを出発点とする。第4回講義では、消極哲学と積極哲学という対比が、形相の学としての現象学にいかなる問題を突き付けてくるのかを解説する。
5 05/23 リシールによるフッサール現象学の批判 ベルギー生まれの現象学者リシールは、カントが『純粋理性批判』において展開する批判に基づき、形相の学としてのフッサール現象学を批判する。とりわけ、フッサール『間主観性の現象学』の他者論において、エイドスとしてのエゴが現実規定のために用いられていることを批判する。第5回講義では、カントの議論を背景に、リシールによるフッサール現象学の批判について概説する。
6 05/30 リシールによる間事実性の現象学 リシールは、シェリングの積極哲学における弁証法的運動に着目する。この弁証法的運動においては、概念によって何であるとは規定できないが必然的に存在するものから出発し、それが概念的に捉えられるにいたる運動が、宙づりと復元という言葉で表現されている。リシールは、宙づりと復元の間の間隙に着目し、概念に先立つ事実性の点滅を現象学的に捉え直す。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講日は6月6日、6月13日を予定しています。

講師紹介

長坂 真澄
早稲田大学教授
博士(哲学、フランス、トゥールーズ大学)。専門分野は独仏現象学および宗教哲学。早稲田大学にて西洋哲学の授業を担当。書籍等著作物として『リクール読本』、『レヴィナス読本』(ともに共著、法政大学出版局)、『デリダのハイデガー講義を読む』(共著、白水社)がある。
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