ジャンル 現代社会と科学

中野校

間違いだらけの日本の半導体政策 昔も今も「経産省が出てきた時点でアウト」

  • 春講座

湯之上 隆(元日立製作所研究員、ジャーナリスト)

曜日 土曜日
時間 15:05~16:35
日程 全4回 ・04月13日 ~ 06月15日
(日程詳細)
04/13, 05/11, 06/01, 06/15
コード 310712
定員 45名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 13,662

目標

・なぜ日本半導体産業が凋落したのかを理解する。
・TSMC熊本工場は日本のシェア向上に寄与しないことを理解する。
・ラピダスは2027年までに2nmの先端半導体を量産できないことを理解する。
・強いはずだった日本の半導体製造装置産業が凋落している実態を理解する。

講義概要

2021年に入った途端に、世界的に半導体不足が起きたことが切っ掛けとなって空前の半導体ブームが到来した。2000年以降、凋落の一途を辿っていた日本も、半導体の受託生産で世界シェア約60%を占める台湾TSMCを熊本に誘致し、ラピダスが2027年までに2nmの先端半導体を量産すると発表するなど、復活を目指そうとしている。講義では、なぜ日本の半導体産業が凋落したのか、TSMC熊本工場が日本のシェア拡大に寄与するのか、ラピダスが2nmの先端半導体を製造できるのかについて解説し、強いはずだった日本の半導体製造装置産業が凋落している実態を明らかにする。そこから、日本の半導体政策は昔も今も間違いだらけである結論を導く。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/13 なぜ日本半導体産業は凋落したのか 日本半導体産業は1980年代中旬に世界シェア50%超を独占したが、その後シェアが急低下し、2020年に10%を切った。講義では、なぜ日本は世界シェア50%を独占できたのか? なぜその後凋落したのか? について解説する。その上で、ここ最近盛り上がっている「日本半導体産業が復活する」という世論が間違いであることを論じる。
2 05/11 TSMC熊本工場の是非を問う 世界最先端の微細化を独走し、半導体の受託生産(ファウンドリー)で世界シェア約60%を独占している台湾のTSMCが熊本に進出することになった。では、なぜTSMCは熊本に進出することになったのか? またTSMC熊本工場によって日本の半導体シェアは向上するのだろうか? さらに日本政府が主張している経済安全保障は担保されるのだろうか? 講義では、日本政府の目論見が実現できないことを論じる。
3 06/01 ラピダスは2nmの先端半導体を量産できるか 新会社ラピダスが北海道に工場を建設して、2027年までに2nmの先端半導体を量産すると発表した。ラピダスには、米IBMと欧州のコンソーシアムのimecなどが技術提携する。しかし、どこがどれだけ協力しようとも、ラピダスが2nmの先端半導体を量産することは困難であること、また仮に量産できたとしても、ラピダスは十分な利益を得ることができず、したがって事業会社として存続することが不可能であることを論じる。
4 06/15 強いはずだった日本の半導体製造装置産業が凋落している 日本の半導体産業は凋落したが、製造装置と材料は強力であると思われていた。ところが、2010年頃から日本の製造装置産業のシェアが急低下していることが判明した。もはや「日本の製造装置産業は強い」とは言えない事態となっており、このままでは半導体産業と同じ道を辿ることになりかねない。では、なぜ、日本の製造装置産業が弱体化したのか? また、どうしたらシェアの低下を止めることができるのか? 講義では、これらの詳細について論じる。

テキスト

テキスト
湯之上隆『半導体有事【第4版】』(文春新書)(ISBN:978-4166613458)

講師紹介

湯之上 隆
元日立製作所研究員、ジャーナリスト
日立やエルピーダなどで16年間、半導体の微細加工技術開発に従事した後、同志社大学で5年間、半導体産業の社会科学研究を行った。現在は微細加工研究所の所長として、半導体産業専門のジャーナリスト&コンサルタントに従事している。近著に『半導体有事』(文春新書、2023年4月)。
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