ジャンル 世界を知る
中野校
シルクロードは麺ロード
井上 隆史(元NHK「新シルクロード」統括プロデューサー)

曜日 | 金曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全4回
・11月15日 ~
12月20日 (日程詳細) 11/15, 12/06, 12/13, 12/20 |
コード | 330316 |
定員 | 36名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 11,880 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 13,662 |
目標
・「米」と並んで、人類にとって重要な命の糧である「小麦」の伝播とその役割を再認識する。
・小麦の伝播と麺の発生、そしてその分布を辿りながら、各地の文化や歴史、風土を知る手がかりとする。
講義概要
うどん、そば、ラーメンは我々日本人にとってなくてはならない食文化です。しかし、この麺食はいつ、どうやって生まれたのか?知らない人が多いと思います。トルコのアナトリア高原で栽培が始まった小麦は、ユーラシア大陸一帯に拡がっていきます。東に向かった小麦の道はタクラマカン砂漠から黄土高原に至り、ここで「麺」という食べ方が生まれます。麺発祥の地黄土高原に始まり、百花繚乱の麺文化を中国各地で探りながら、西に向かった麺の道を中国新疆の砂漠地帯から中央アジア、そしてイタリア・ローマまで辿ってくと、そこにはシルクロード各地の文化と歴史が見えてきます。シルクロードは麺ロードでもあったのです。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 11/15 | 小麦はシルクロードを東に | 小麦の栽培はトルコアナトリア高原で始まり、肥沃な三日月地帯に拡がってメソポタミア文明を生みました。 中国新疆のタクラマカン砂漠の遺跡で見つかった3800年前の楼蘭の美女の胸元に置かれた草編みの籠に入った小麦はやがて中華文明圏に伝わりました。 そして、二千年後の漢の時代になって初めて、麺が生まれるのです。 |
2 | 12/06 | 麺のふるさと〜中国黄土高原 | 麺はいつ、どこで生まれたのか?その発祥の地を辿ると中国黄土高原に行きつきます。黄土高原は遊牧民と農耕民がせめぎあい、「史記」の英雄たちが活躍した地です。 麺文化の起源と中華文化の産土の地とされる黄土高原で麺の起源を探り、時代とともに深く多彩になってきた麺文化を見ていきます。 |
3 | 12/13 | 天下一を争う〜蘭州牛肉麺vsビャンビャン麺〜 | 中国の麺の代表は甘粛省蘭州の牛肉麺です。牛骨で出汁を取った透明なスープは、イスラム教徒の回族ならではの味です。牛肉麺は中国全土に広がり、中国麺の代名詞になりました。 近年その牛肉麺を急追するのは、西安に起源をもつビャンビャン麺、独特のコシを持つ平麺です。それぞれの麺はどうやって生まれたのか、それを育んだ文化と風土を探ります。 |
4 | 12/20 | 麺は遊牧民の世界からローマへ | タクラマカン砂漠を越えて新疆の遊牧民の世界に入ると麺は、独特の変化を遂げていきます。ラグメンと呼ばれる新疆拌麺は汁の少ない焼きそば風に変化します。具材は豊かな草原が育てた羊。 森の民カザフ族は独特の馬肉を使った麺を作り上げました。遊牧世界の風土にあわせて変化した麺はやがて小麦の道を逆に辿って中央アジアから西アジアへ・・・やがてイタリアのパスタ文化を花開かせるのです。 |
備考
・11月29日は休講となりました。補講は12月13日に行います。
・11月22日は休講となりました。補講は12月20日に行います。
講師紹介
- 井上 隆史
- 元NHK「新シルクロード」統括プロデューサー
- 1952年香川県生まれ。早稲田大学卒業後、NHK入局。NHKスペシャルを中心に、歴史や文明に関するテレビドキュメンタリーを制作してきた。主な作品として、「絵巻切断」「現代史スクープドキュメント」「大モンゴル」「中国12億人の改革開放」「家族の肖像」「四大文明」「新シルクロード」などがある。2013年からは東京藝術大学特任教授として、アフガニスタンをはじめとするシルクロードの文化遺産の研究と保護に取り組んできた。現在「平山郁夫シルクロード美術館」監事。