ジャンル 現代社会と科学
早稲田校
「作動学」でひもとく戦後政治―政治制度の作動を検証し政治のあり方を見透す
牧原 出(東京大学教授)

曜日 | 土曜日 |
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時間 | 13:10~16:35 ※途中休憩をはさみます。 |
日程 |
全1回
・10月12日 ~
10月12日 (日程詳細) 10/12 |
コード | 130754 |
定員 | 27名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 5,940 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 6,831 |
目標
・戦後政治史を政治制度の作動の観点から再検討する
・1990年代以降の「改革の時代」の中で、改革の意味合いの変化を考える
・デジタル化の中で制度改革をどう構想することができるかを考える
・以上を新しい「作動学」として方法的にも再構成する
講義概要
本講座では、制度がルールの体系であると同時に、多面的に人間の行動を規定することに着目して、制度がどう作動するか、またどう作動しないかという観点から、日本政治を再検討する。大日本帝国憲法の天皇機関説に始まり、戦後改革を経て、1990年代以降の政治改革・省庁再編などの改革がどう制度を作動させたのかを跡づける。さらにIT化・デジタル化の中で、コミュニケーション速度が加速する中で、ルールの体系に加えてデジタル技術の蓄積が、人間の行動を複雑に変えつつある。その結果、制度改革は制度を新設するよりは、既存の制度作動を変化させつつある。今後制度改革はどこへ向かうか最後に展望する。
※本講座は2023年度秋学期に八丁堀校で開講した同名講座とほぼ同じ内容となっています。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 10/12 | 政治史・政治制度・作動学 | 講義は3つに分かれる。 第1部:制度の作動学:政権交代、天皇退位など2010年代以降に登場した「シームレス」な交代とはなにゆえ求められるようになったのかを検討し、デジタル化と並行して制度の作動の重要性が意識されるようになったプロセスを検討する。 第2部:天皇機関説など制度作動を含意する制度論を見直した上で、公文書を実際に回付・移管・保存する公文書管理制度がどう作動するかを、戦前から戦後にかけてその変遷を概説する。その不作動として、森友学園問題に見られる公文書の改竄がどう起こるかを事例にとりあげ、制度作動の問題として公文書管理制度とその改革を見透す。 第3部:官邸主導とデジタル化を対象として、2001年の省庁再編以後どのように官邸主導が作動したかを検討する。あわせてこの時期に進んだデジタル化によって、電子政府、SNS、システムの標準化などとともに、制度作動がどのようなイメージをとっているか、どう変わるかを展望する。最後に、政権交代ある政治システムの創出を狙いとした政治改革がどうなるかを考えていく。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆本講座については、休講が発生した場合の補講日を設けておりません。
◆本講座は2023年度秋学期に八丁堀校で開講した同名講座とほぼ同内容となっています。
講師紹介
- 牧原 出
- 東京大学教授
- 1990年東京大学法学部卒業。東北大学法学部助教授、同大学院法学研究科助教授、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス客員研究員、東北大学大学院法学研究科教授を経て2013年より現職。日本工学アカデミー会員。著書に、『 内閣政治と「大蔵省支配」』(中央公論新社)、『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会)、『権力移行』(NHK出版)、『「安倍一強」の謎』(朝日新聞出版)、『崩れる政治を立て直す』(講談社)、『田中耕太郎 闘う司法の確立者、世界法の探究者』(中央公論新社)等。共編著に『聞き書 野中広務回顧録』(岩波書店)、『日本政治史講義 通史と対話』(有斐閣) 。