ジャンル 芸術の世界

早稲田校

日本画とは何だったのか

  • 秋講座

古田 亮(東京藝術大学大学美術館教授)

曜日 金曜日
時間 10:40~12:10
日程 全6回 ・10月25日 ~ 12月06日
(日程詳細)
10/25, 11/08, 11/15, 11/22, 11/29, 12/06
コード 130424
定員 33名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・近代日本画について、基本的な知識を身につける。
・日本美術の全体から、近代日本画とは何だったかを理解する。
・幕末から戦後まで、日本画様式の変化をとらえられるようにする。

講義概要

近代絵画は日本画と洋画というふたつのジャンルにわかれ、現在にいたります。そのことを問い直してみると、「日本」「近代」「絵画」がどのような制度のもとに成り立っていたのかが見えてきます。本講義は、近代日本画とは何かについて考えながら、河鍋暁斎、狩野芳崖、横山大観、菱田春草、上村松園、東山魁夷といった画家たちが生きた近代という時代を、大凡10年の単位で時代の変化を追いながら、また具体的な作品を中心に詳しく説明していきます。本講義内容は、拙著『日本画とは何だったのか 近代日本画史論』の構成に即したものとなり、同書の改題文庫版が、角川ソフィア文庫より10月末に刊行予定ですが購入は任意です。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 10/25 日本絵画のなかの近代日本画 本講義は、近代日本画が日本絵画全体のなかでどのような位置を占めているのかを確認するところからはじめる。そのためには、古代から現代まで日本絵画の歴史を解きほぐしながら、東アジアのなかでの日本絵画について改めて見直してみることが必要となる。その上で、近代になって西洋美術が受容されて起きた変化についても相対的な視点で捉え直す。
2 11/08 江戸から明治へ 近代日本画がジャンル化する以前、どのような前史があったのかを詳しくみていく。江戸時代18世紀には京都で円山応挙が「写生」を称えて絵画に変革をもたらし、江戸では新たな視覚効果を求めて洋風画や浮世絵に遠近法などの技法が取り入れられた。幕末から本格的に西洋美術の影響を受けるようになるが、一方では保守的な様式も混在する。
3 11/15 明治前期 明治10年代、「洋画」というジャンルが確立するとその対概念として「日本画」が成立する。博覧会、展覧会、美術学校といった諸制度が整えられ、近代の日本画は、狩野芳崖、橋本雅邦らが牽引していくが、河鍋暁斎、小林永濯、渡辺省亭、あるいは京都画壇や地方文化圏の動向も注視しておきたい。
4 11/22 明治後期 明治30年代と40年代を扱う。30年代は自然主義を背景にして日本画を革新していこうとする傾向があり、そのひとつに横山大観や菱田春草らの「朦朧体」がある。そして、そこから脱していく時に点描技法やあるいは装飾的な傾向、印象派的な傾向が見られる。旧派と新派の対立を抱えながら文展へとすすむ時代である。
5 11/29 大正・昭和 この時代、日本画と洋画とが著しく接近する。新しい芸術理念が賞揚され、後期印象派など西洋近代美術の直接的な影響のもとに日本画の考え方、表現方法にも大胆な変化が起こった。速水御舟が挑戦した写実描写やその後、昭和初期の古典主義への回帰へとめまぐるしく日本画は変化を遂げる。
6 12/06 戦中・戦後 日本が国家主義の道を進み、戦争へと突入していく時代に日本画はどうあったのか。戦中期には時代に翻弄されながらも、国に報いる姿勢ばかりでなく抗う姿勢があった。日本画の歴史を戦前から戦後までを連続性のなかでとらえ、明治からはじまる「近代」日本画の終焉を昭和30年代にみる。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆本講義内容は、拙著『日本画とは何だったのか 近代日本画史論』の構成に即したものとなり、参考図書としてお読みいただくと理解が深まります。また、同書の改題文庫版が、角川ソフィア文庫より10月末に刊行予定ですが購入は任意です。

講師紹介

古田 亮
東京藝術大学大学美術館教授
東京国立博物館、東京国立近代美術館を経て現職。「琳派RIMPA」展、「揺らぐ近代」展、「夏目漱石の美術世界」展、「大吉原展」などの展覧会を企画。著書に『俵屋宗達』、『高橋由一』、『美術「心」論』、『横山大観』、『日本画とは何だったのか』、編著に『日本画の所在』など。専門は近代日本美術史。

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