ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
江戸の劇場空間と観衆―芝居町・屋敷方・寄席
藤田 勉(江戸娯楽文化研究家、音楽家)

曜日 | 水曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全6回
・10月23日 ~
11月27日 (日程詳細) 10/23, 10/30, 11/06, 11/13, 11/20, 11/27 |
コード | 130232 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 17,820 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 20,493 |
目標
・近世の歌舞伎・浄瑠璃の隆盛を江戸の受容者の側から考える。
・風俗画・図絵などを史料として活用する視点を身につける。
講義概要
江戸時代の幕開けとともに誕生した歌舞伎と操浄瑠璃。江戸の芝居町はこの両演劇の芝居小屋を中心に形成され発展していきました。芝居町と劇場は観客に非日常空間での精神の解放を提供し、観客はより強い刺激と満足を求めて演劇の進化を促しました。こうした芝居町と劇場、観衆の間の濃密な関係を、興行が行われた「場」と、興行を支えた観客に焦点を当てて、絵画史料や文献を通してみていきます。また武家屋敷方で演劇を鑑賞する大名と武士、庶民の日々の暮らしに密接に存在した寄席についても「場と観衆」という視点から取り上げます。都市江戸の人々とともに江戸の劇場空間の熱気を感じていきましょう。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 10/23 | 「江戸名所図屏風」にみる芝居町の形成と民衆 | 寛永年間の新興都市江戸の荒々しいエネルギーを大胆に活写した「江戸名所図屏風」から、芝居町や盛り場に群集し芸能娯楽を享受する民衆の姿と、草創期の歌舞伎・操浄瑠璃についてみていきます。 |
2 | 10/30 | 江戸前期の操浄瑠璃・歌舞伎と観衆 | 江戸前期延宝年間の江戸の芝居町を描く「江戸芝居町図屏風(通称ボストン屏風)」を手掛かりに、金平浄瑠璃を筆頭に全盛の操浄瑠璃、変革期の歌舞伎、当時の芝居小屋について解説し、江戸前期の芝居町の熱気に触れていきます。 |
3 | 11/06 | 大名屋敷の芸能興行 | 江戸前期から元禄期には諸大名の江戸屋敷でも歌舞伎・狂言・操浄瑠璃など諸芸能の大規模な上演がしばしば催されており、屋敷方も芝居町とならぶ重要な興行場所であり劇場であったと言えます。文献・絵画史料を読み解き、芸能を享受する大名・武士たちの姿をみます。 |
4 | 11/13 | 古川柳と芝居図でみる劇場空間 | 芸能や文芸、趣味、風俗に江戸オリジナルが確立し、江戸っ子の江戸自慢が高揚した江戸中期・宝暦天明期の、江戸庶民の心情をストレートにあらわした川柳と芝居図から、歌舞伎芝居小屋の繁昌と観衆の熱狂ぶりをみていきます。 |
5 | 11/20 | 別天地としての「戯場国」 | 無類の芝居好きの式亭三馬は、芝居小屋を役者・観客も含めたひとつの小宇宙と見立てて「戯場国」と名付けました。それは三馬一流の滑稽にとどまらず、劇場空間を非日常の別天地ととらえた江戸の大衆の歌舞伎愛を見事に表現した語でもあります。江戸の人々はこの別天地に何を求め、どのように関わり行動したのかを考えます。 |
6 | 11/27 | 寄席の花 女浄瑠璃 | 江戸後期から幕末の江戸庶民にもっとも身近な芸能空間は町ごとに一-二軒はあった寄席で、多種多様な芸が人々を楽しませました。中でも女性太夫による義太夫語りの「女浄瑠璃」は、幕府の度重なる規制を受けながらも寄席の花形として抜群の人気を誇りました。その人気ぶりを寄席のシステムや諸芸とともに紹介します。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆毎回の講義に絵画史料、図絵などの参考資料を配付します。江戸の芸能空間理解の入門編としてお気軽にご参加いただけます。
講師紹介
- 藤田 勉
- 江戸娯楽文化研究家、音楽家
- 1962年生まれ。法政大学文学部史学科中退。ロックバンドのドラマーとしての活動のかたわら、各地の博物館・文学館等のイメージ音楽制作を手掛ける。平成21年より早稲田大学エクステンションセンター講師。専門は近世の浄瑠璃・三味線音楽、風刺文芸・風刺浮世絵など江戸庶民娯楽文化史。