ジャンル 現代社会と科学
早稲田校
情報戦争の世界地図 スパイたちのせめぎ合いから真相を読み解く
春名 幹男(国際ジャーナリスト、元共同通信ワシントン支局長)

曜日 | 木曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全5回
・10月17日 ~
11月14日 (日程詳細) 10/17, 10/24, 10/31, 11/07, 11/14 |
コード | 130722 |
定員 | 70名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 14,850 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 17,077 |
目標
・これまでナゾとされてきた問題を新しい情報を得て解き明かす。
・公開された機密文書や証言を得て真相を読み解く方法を考える。
講義概要
ガザの残酷な戦いから、プーチン・ロシア大統領がトランプ当選を狙って米大統領選挙に介入した問題まで。世界を揺るがせた事件の裏では、必ず「情報戦争」が展開されています。メディアの報道では伝えられない真相を、新たに公開された機密文書などを利用して、解き明かしていきます。中国が日本に対して、どのような工作を仕掛けてきたのか、あるいは日本はなぜ朝鮮半島情勢で的確な情報を得られないのか、といった深刻な問題も追及します。
※講義開始まで数ヵ月もあるため、新しい情報の入手により講義内容を変更する場合があります。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 10/17 | パレスチナとイスラエルなぜ戦い続けるのか | 長きにわたった「国外離散」からパレスチナに戻ったユダヤ人たちは、1920年の英国の委任統治の時代から、強硬派がテロ組織を結成、「標的暗殺」を繰り返しました。1948年のイスラエル独立後に軍隊と3つの情報機関を創設。歴代の首相4人はテロ組織の出身者なのです。それから75年、血なまぐさい時代が続いています。昨年10月7日、パレスチナ勢力「ハマス」はやすやすとイスラエルを攻撃できたのはなぜか。ネタニヤフ首相はハマスと故アラファト議長の「ファタハ」の2つのパレスチナ組織が並立する限り、パレスチナ国家は建設できないと考え、ハマスを陰で支援し、監視を怠ってきたからです。ユダヤ人国家とパレスチナ人国家が共存できる時代はいつ到来するのか。米国のユダヤ人ロビイ組織の動向も合わせて考えます。 |
2 | 10/24 | ケネディ大統領はなぜ暗殺されたのか | 1963年リー・ハーベイ・オズワルドの凶弾に倒れたジョン・F・ケネディ大統領。その1年前には世界を恐怖のどん底に陥れた「キューバ危機」がありました。さらにその前年には、米軍がキューバ侵攻を狙った「ピッグズ湾事件」がありました。それらと並行してケネディは、CIAを使ってキューバのカストロ首相暗殺も計画していたのです。ケネディ暗殺とこれら一連の事件との間に関係はないのか。実はオズワルドはなぜかメキシコのキューバ大使館に出入りしていました。自分の命を狙われたカストロが対米反撃の行動に出ていた可能性もあるのです。 |
3 | 10/31 | 中国は日本にどのような工作を仕掛けてきたのか | 「台湾有事」が叫ばれる近年、「中国は一つ」「台湾は中国の一部」という原則的な問題をめぐる議論が闘わされています。実は、田中角栄首相が訪中してまとめた「日中国交正常化」はこの2点が核心を形成しています。田中訪中前に基本的内容を詰めたのは「上海バレエ団団長」の肩書きで来日した日中友好協会の孫平化氏です。彼は元々、情報機関の人間であり、孫平化氏が指示を仰いだ周恩来首相も元々、情報機関を発足させた人物でした。そもそも正常化への準備交渉は橋本恕中国課長が極秘裏に進め、外務省アジア局長さえ関与していませんでした。その不明朗な経緯を改めて考え直し、後に橋本龍太郎首相が引っかかったハニー・トラップの問題や東シナ海の石油・天然ガス開発問題、尖閣諸島の主権問題などにも触れていきたいです。 |
4 | 11/07 | 日本はなぜまともな朝鮮半島戦略を打ち出せないのか | 今日本が抱える朝鮮半島問題は北朝鮮の核・ミサイル・拉致に集約されています。しかも、拉致問題は最初から極めて稚拙な対応しかしていませんでした。講義では、拉致問題対応の失敗を明確に指摘しておきたい。また金正男極秘入国問題への対応も同様でした。日本の「防諜」体制不備の責任は日本の情報機関にも責任があります。主権さえ守られず、核・ミサイル問題でも、一貫した戦略を打ち出す体制がこの国では整備できていないのです。鳴り物入りで発足した内閣の国家安全保障局などはこうした戦略的な問題に対応できていないのです。 |
5 | 11/14 | プーチン・ロシア大統領はなぜ、トランプを大統領にしたのか | 2016年の米大統領選挙では、オバマ政権の米中央情報局(CIA)はプーチン大統領がアメリカ大統領選挙に介入しているとの情報をクレムリン内部のスパイから得ていましたが、的確な対応ができず、みすみすプーチンが望むトランプが当選する結果となったのです。プーチン直属の部下、故プリゴジンが発足させたインターネット・リサーチ・エージェンシーという機関を使って、ロシア人工作員が米国内で、米国人になりすまし、SNSのアカウントを作らせ、トランプ有利に働く投稿を繰り返していたのです。彼らのアカウントでは「黒人の命も大切だ(BLM)」などリベラル派のデモへの参加を呼びかける投稿も繰り返しており、米国内の「分断」という動機が読み取れるのです。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は11月21日(木)を予定しています。
◆講義開始まで数カ月もあるため、新しい情報の入手により講義内容を変更する場合があります。
講師紹介
- 春名 幹男
- 国際ジャーナリスト、元共同通信ワシントン支局長
- 国連、国務省、ホワイトハウス、米中央情報局(CIA)などを現地で取材。在米報道はニューヨークとワシントンで計12年。国連特派員協会第2副会長やナショナルプレスクラブ国際委員長を務めた。共同通信特別編集委員を最後に退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学大学院客員教授を歴任。外務省の「密約」調査で有識者委員を務めた。著書に『ヒバクシャ・イン・USA』『スクリュー音が消えた―東芝事件と米情報工作の真相』『秘密のファイル―CIAの対日工作』『仮面の日米同盟』『ロッキード疑獄―角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』など。ボーン上田記念国際記者賞、日本記者クラブ賞、早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。