ジャンル 芸術の世界
早稲田校
初期キリスト教聖堂のモザイク装飾
山田 香里(立教大学講師)

曜日 | 月曜日 |
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時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全7回
・09月30日 ~
11月25日 (日程詳細) 09/30, 10/07, 10/21, 10/28, 11/11, 11/18, 11/25 |
コード | 130430 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 20,790 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 23,908 |
目標
・初期キリスト教美術の作品に関する理解を深める。
・キリスト教の思想に関する理解を深める。
講義概要
キリスト教美術は3世紀初頭までに葬礼美術の範疇内で誕生したと考えられています。その後、313年にローマ皇帝コンスタンティヌスによりキリスト教が公認されると、直ちに大規模な聖堂建造が始まりその内部は美しいモザイク壁画などで飾られていきます。本講座では、誕生期のキリスト教美術の作品を聖堂内に描かれたモザイク壁画を中心に味わって行きます。聖書やキリスト教思想についても触れながら、いくつかのテーマに分けて説明し、作品をより深く理解していきます。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 09/30 | キリスト教美術の誕生 | キリスト教美術が誕生した経緯や初期の装飾テーマ、聖書解釈と美術の関係などについて、プリシルラのカタコンベをはじめとする壁画やヴァティカン博物館所蔵の石棺浮彫彫刻の作例を中心にご紹介します。たくさんある聖書の物語の中から、絵画化されるにあたっての選択基準などについてご説明します。 |
2 | 10/07 | イエスの生涯と十字架 | 最初期のキリスト教美術には、イエスの姿は数えるほどしか登場しません。その後、多くの聖書物語場面が描かれるようになりますが、キリストの受難場面が登場するのは少し遅れてからになります。特に磔刑のシーンは、最初期に描かれることがありません。この回では、キリストの受難や十字架について、聖書本文にも触れながら、どのように描かれてきたのか、石棺彫刻や工芸品、聖堂モザイク壁画等をご紹介しながらお話しします。 |
3 | 10/21 | 寓意的な表現の登場 | 320年代に皇帝コンスタンティヌスの主導でローマのヴァティカヌス丘に建設されたサン・ピエトロ聖堂にはペトロ、パウロ、キリストの3名による「キリストの法の授与」図という聖書に依拠しない寓意的なシーンが描かれていたとされています。この図は、これ以降のローマで、教皇主導で建設されるサンティ・コスマ・エ・ダミアーノ聖堂やサンタ・プラッセーデ聖堂などの装飾の雛形となっていきます。他にもキリストが登場する寓意的表現を有するローマの聖堂モザイク装飾ご紹介します。 |
4 | 10/28 | 聖母マリアはどのように扱われたか | 431年のエフェソス公会議でイエスの母マリアが「神の母」に認定されると、ローマでも聖母マリアの名を冠した聖堂が建造され、マリアを主題とした聖堂装飾が多くつくられていきます。マリアを描いた作品たちが聖堂内で果たす役割について、サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂をはじめとするローマに残されたマリアの名前を冠する聖堂をいくつかご紹介しながら見ていきます。 |
5 | 11/11 | 教会の出資者たち | 聖堂建築やその装飾は、皇帝や有力者、信徒、といった人々の出資によって制作されています。ラヴェンナやテサロニキに残された出資者を描いた聖堂モザイク壁画をご紹介するのと同時に、市民が聖堂建築に出資していた様子をグラードの床モザイクに残された銘文から見て行きます。 |
6 | 11/18 | 描かれた動物たち | キリスト教美術はその誕生期から多くの動物たちを描いてきました。多くの田園風景が描かれるその背景には、ローマ美術の伝統と聖書の記述がありました。また、時にキリストや使徒たちを鳩や羊で表現する動物の擬人像も4世紀になると好んで描かれるようになります。鳩が描かれるアルベンガ洗礼堂のモザイク壁画、コモディルラのカタコンベ壁画、などを中心に、石棺、工芸品なども紹介していきます。 |
7 | 11/25 | ローマにおける中世の聖堂とその装飾 | 9世紀のローマでは「ローマの刷新」と呼ばれるような聖堂の修復・改築事業が行われ、新たな聖堂装飾も多く施されました。その後13世紀には、教皇の権威が高まるとともに再び多くの聖堂が改築され、新しいモザイク装飾が施されて行きます。サンタ・マリア・イン・トラステヴェレ聖堂の壁画やサンタ・マリア・マッジョーレ聖堂に新たに施される壁画など、ローマに残された聖堂モザイク壁画をご紹介します。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆休講が発生した場合の補講日は12月2日(月)を予定しています。
講師紹介
- 山田 香里
- 立教大学講師
- 東京都出身。立教大学大学院文学研究科博士課程後期課程退学(神学修士)、在ローマ教皇庁立キリスト教考古学研究所博士課程修了(文学修士、キリスト教考古学専攻)。専門分野はキリスト教考古学、初期キリスト教美術。誕生期のキリスト教美術について、キリスト教思想の変遷や、教会史・ローマ史などの持つ背景とともに考察しています。キリスト教美術を鑑賞するときのポイントや楽しみ方をお伝えしていきたいです。