ジャンル 世界を知る

早稲田校

アンコール朝の歴史と文化 最新の研究成果から読み解く古代カンボジア

  • 秋講座

田畑 幸嗣(早稲田大学教授)

曜日 水曜日
時間 10:40~12:10
日程 全8回 ・09月25日 ~ 11月13日
(日程詳細)
09/25, 10/02, 10/09, 10/16, 10/23, 10/30, 11/06, 11/13
コード 130341
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 23,760
ビジター価格 受講料 ¥ 27,324

目標

・アンコール遺跡に対する理解を深める。
・世界遺産アンコール遺跡群の歴史・文化的背景を理解する。

講義概要

天を衝く大伽藍アンコール・ワットや四面仏で有名なバイヨン寺院を生み出したアンコール朝は、東南アジア世界を代表する大文明でした。しかし、世界遺産としての人気の高さに比して、アンコールの歴史や文化の実像はあまり知られていません。「アンコール」が国の名前でないことすら一般的ではないでしょう。この授業では、考古学・文献研究・建築学・美術史研究の最新の研究成果を総合し、アンコールの成立から滅亡までの歴史をたどります。世界遺産として名高いアンコール遺跡を数多く紹介しますが、単なる遺跡ガイドではなく、その思想的背景なども探りたいと思います。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/25 アンコールへの序奏:海のシルクロードとクメール人国家の建設 アンコール朝は一夜にして成立したわけではありません。アンコール朝を生み出したクメール人達がどのように国家を形成していったのでしょうか。海のシルクロードとの関わりから、前アンコール社会の成立について論じます。
2 10/02 真臘:玄奘三蔵が記録したクメール人国家 アンコール朝が成立する前も、中国の文献で真臘(しんろう)と呼ばれたクメール人の国は、東南アジア有数の大国でした。実際には一度も真臘に足を踏み入れたことのない玄奘三蔵ですら、シルクロードの旅の記録にその名を残したほどです。アンコール朝成立以前の首都であるサンボー・プレイ・クック(カンボジアで三番目に世界遺産に登録されました)遺跡を中心にその社会と文化を論じます。
3 10/09 アンコール朝の成立:神王の統治のはじまり 8世紀頃に弱体化し、分裂した真臘は、9世紀初頭に一人の王子によって再統一されます。神であり王である存在、デーヴァラージャが統べるアンコール朝の成立です。その舞台となったアンコール地域北部のプノン・クーレンは地雷問題から調査が難しい地域でしたが、最先端技術を用いた近年の調査で、アンコール朝成立の謎が次々と明らかになっています。
4 10/16 アンコール朝の発展:巨大なインフラ整備 10世紀に入り、安定したアンコール朝は巨大な貯水地を建造しはじめます。フランス文化大臣をつとめた作家、アンドレ・マルローが青年時代に盗掘を働いたことで有名なバンテアイ・スレイ寺院が建立されたのもこの頃です。巨大貯水地バライや、クメール建築の白眉とされるバンテアイ・スレイ寺院、一時期遷都したコー・ケー遺跡群などを紹介しながら、発展するアンコール朝について論じます。
5 10/23 アンコール・ワットの時代:世界最大のヒンドゥー寺院 12世紀前半、アンコール朝は最初の頂点を迎えます。世界最大のヒンドゥー寺院であるアンコール・ワットはその象徴です。アンコール・ワットとその浮き彫りを読み解きながら、頂点を極めつつあるアンコール社会に迫ります。
6 10/30 帝国を夢見る:最盛期のアンコール朝 12世紀末から13世紀に隣国チャンパーの侵攻から国土を回復したアンコールは、インドシナ半島の大部分を勢力下におさめ、その文明は絶頂を迎えます。王都アンコール・トムには宇宙の中心であるバイヨン寺院が建立されます。代表的なクメール寺院を紹介しながら、聖なる都アンコールはどのような思想のもとに統治されていたのかを探ります。
7 11/06 衰退か、変容か:アンコール時代から後アンコール時代へ 15世紀に新興国タイに破れたアンコールは滅亡し、カンボジアは東南アジアの小国へ転落したとされてきました。それは本当なのでしょうか。最新の成果から、「アンコール滅亡」の謎に迫ります。
8 11/13 アンコール・ワットと日本:南洋日本町とキリシタン 日本人観光客がアンコール・ワットで必ず訪れる場所に、十字回廊に残る江戸時代の墨書があります。「落書き」と誤解されることの多いこの墨書を手がかりに、知られざるカンボジアと日本の関わりについて論じます。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆本講座は、2023年度秋学期に早稲田校で開講した同名講座と同じ内容です。
◆休講が発生した場合の補講は11月20日を予定しています。

講師紹介

田畑 幸嗣
早稲田大学教授
1972年長野県生まれ。国際基督教大学卒、上智大学大学院満期退学。博士(地域研究)。専攻分野はカンボジア考古学、文化遺産研究。主な著訳書は『クメール陶器の研究』(雄山閣)など。
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