ジャンル 世界を知る
早稲田校
台湾の歴史と社会 諸帝国の周縁を生き抜く人々
若林 正丈(早稲田大学名誉教授)

曜日 | 金曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全8回
・10月04日 ~
12月06日 (日程詳細) 10/04, 10/11, 10/25, 11/08, 11/15, 11/22, 11/29, 12/06 |
コード | 130332 |
定員 | 30名 |
単位数 | 1 |
会員価格 | 受講料 ¥ 23,760 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 27,324 |
目標
・台湾の歴史における支配国家の交代の歴史を理解する
・代わる支配国家毎の主な社会変化を理解する
・現代台湾の社会と国家の成り立ちの歴史的背景を理解する
講義概要
台湾は長く先住民族のみが住む島だったが、17世紀以後、オランダ東インド会社、鄭氏勢力、清朝、日本、中華民国と、次々と支配国家が代わり、また代わる毎に支配国家/帝国の性格も変わった。台湾は「諸帝国の周縁」であり、先住民族や移住漢人は、いわば「諸帝国の周縁を生き抜く」ことを強いられてきたのである。現代では新興民主主義国家として存在感を増しているが、同時に「改革と開放」政策の下で発展を遂げた中国が統一圧力を強めており、折からの米中対立の拡大とともに「台湾有事」が懸念されるようになった。そういう時期だからこそ、その複雑な歴史を、台湾の人々が「諸帝国の周縁」を生き抜いてきた歴史として考えてみたい。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 10/04 | イントロダクション | 二三の事例をあげて、台湾の人々にとって台湾の歴史は「諸帝国の周縁を生き抜く」歴史であったことを示す。また入門的参考書の紹介も行う。 |
2 | 10/11 | 近世台湾の国家と社会:17世紀から19世紀末まで | 先住民族の部族社会が存在するだけだった台湾島に初めての「国家」(オランダ東インド会社)が到来して以来の、漢人の移住開拓の展開、鄭氏の小王朝の短い支配、清帝国の二世紀にわたる支配と漢人社会の拡大、19世紀後半の欧米・日本勢力の到来と清帝国の支配の動揺、台湾政策の転換などを概観する。 |
3 | 10/25 | 日本植民地統治の確立・展開と台湾社会 | 日本植民地統治の確立と展開を、移住漢人社会と先住民族社会に分けて概観する。台湾総督府の統治体制の形成、漢人武装ゲリラの鎮圧、土地調査事業、戸口調査、山地先住民族の征服戦争と「理蕃」政策、先先住民族セデック族の霧社蜂起事件などを紹介する。 |
4 | 11/08 | 「議会政治の夢」の誕生と挫折 | 台湾のある歴史家は日本の台湾統治は「議会政治無き明治維新」であったと言う。「議会政治」は実現しなかったがその「夢」はうまれた。台湾漢人新興知識人の「議会政治の夢」の行方を辿ってみる。これは戦後民主化の前史とも言える。 |
5 | 11/15 | 中華民国が二度やってきた:戦後激動の中の台湾 | 日本敗戦後の中華民国による台湾「光復」(一度目の中華民国)および中国内戦と東西冷戦がからみあった「台湾の中華民国」の成立(二度目の中華民国)の過程を概観する。この間に発生しその後に深い影響を残した二・二八事件も検討する。 |
6 | 11/22 | 民主化と「中華民国の台湾化」 | 1970年代初めのアメリカの対中政策の方向転換後の国民党一党支配の権威主義的政治体制の民主化の展開およびそれが引き起こす「中華民国の民主化」の有様を概観する。中国の台湾政策の転換についても言及する。 |
7 | 11/29 | 諸帝国の周縁を生き抜く:「台湾原住民族」の登場 | 「諸帝国」の支配の下で、台湾先住民族の経験した歴史を、民主化期の「台湾原住民族運動」の登場と展開までをたどる。 |
8 | 12/06 | まとめ | これまでの講義のまとめを行うとともに、民主化後の台湾政治の現状について概観する。また、講義全般についての質疑応答の時間を設ける。 |
講師紹介
- 若林 正丈
- 早稲田大学名誉教授
- 早稲田大学名誉教授。長野県生まれ。博士(社会学、東京大学)。台湾近現代史専攻。主な著書『台湾の政治 中華民国台湾化の戦後史 増補新装版』、『台湾の半世紀』(筑摩書房)、『台湾の歴史』(講談社文庫)。