ジャンル 世界を知る
早稲田校
近世ヨーロッパの歴史 絶対王政とフランス革命の時代のヨーロッパとグローバル・ヒストリー
蝶野 立彦(早稲田大学講師、国際日本文化研究センター客員教員)

曜日 | 月曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全10回
・09月30日 ~
12月16日 (日程詳細) 09/30, 10/07, 10/21, 10/28, 11/11, 11/18, 11/25, 12/02, 12/09, 12/16 |
コード | 130308 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・ヨーロッパ諸国で絶対王政が確立し、オランダ東インド会社などの西ヨーロッパ諸国の勅許会社の世界進出によって《ヨーロッパ諸国の世界交易ルート》が大きく塗り替えられるなかで、ヨーロッパ諸都市における新興市民層の台頭と啓蒙思想の普及を経て、フランス革命の動乱とナポレオン戦争へと至る、近世の後半期(17〜18世紀)のヨーロッパの歴史を概観します。
・ヨーロッパ世界の《近世から近代への転換のプロセス》について理解を深めることが講義の狙いです。
・この時代のヨーロッパ諸国の歴史的歩みについて、《ヨーロッパと非ヨーロッパ世界の関わり》や《グローバル・ヒストリーの視点》を踏まえながら、政治・外交・宗教・文化・思想・経済・流通など多様な角度から論じます。
・重要な邦訳史料や図像史料を紹介しながら、実証的に歴史的事実に光を当ててゆきます。
講義概要
第1〜3回は、「①絶対王政期の国家形成と宮廷文化」をテーマに、ヨーロッパ各国の絶対王政の展開について考察し、第4〜5回は、「②アメリカ・アジア・日本への西ヨーロッパの勅許会社の進出」をテーマに、オランダ東インド会社などの勅許会社の世界進出がヨーロッパと世界の関係をどのように変容させたかを、「キリスト教弾圧及び鎖国時代の日本とヨーロッパの関わり」も視野に入れながら考察します。さらに第6〜10回は、「③啓蒙思想とフランス革命」をテーマに、《理性》を重視する啓蒙の思想とフランス革命及びナポレオン戦争がヨーロッパの政治体制をどのように変容させたかを、「アメリカ大陸の動向」も視野に入れながら考察します。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 09/30 | フランス絶対王政の確立と絶対王政期の宮廷・教会文化 | 「絶対王政(絶対主義)」とは何か、 「ヨーロッパ諸国の絶対王政のモデル」としてのフランス、宰相リシュリューと宰相マザランによる国制改革、「太陽王」ルイ14世の時代、絶対王政期の「宮廷と宮殿」の政治的・文化的機能、ヴェルサイユ宮殿の歴史的歩み、17〜18世紀の宮廷文化の変容(バロックからロココへ)、17世紀フランスのカトリック教会のなかでのジャンセニスムとガリカニスムの相克 |
2 | 10/07 | プロイセンとオーストリアの絶対主義 | ドイツ(神聖ローマ帝国)の絶対主義の特殊性、プロイセンのホーエンツォレルン家による国家経営の独自性と17世紀のプロイセンの急速な台頭、17世紀末のオーストリア・ハプスブルク家によるハンガリー獲得と「多民族国家」としてのオーストリア、18世紀のプロイセン王フリードリヒ2世とオーストリア女帝マリア・テレジアによる国制改革、神聖ローマ帝国の内部の《二大強国》としてのプロイセンとオーストリアの覇権争い、1750年代の「外交革命」とヨーロッパ国際秩序の再編 |
3 | 10/21 | ロシアの台頭とポーランド分割 | モスクワ大公国における中央集権化の展開、ロシアにおける「ツァーリ(皇帝)」理念の形成とロシア正教会、ロシアとその周辺地域における「コサック(カザーク)の動向」とその歴史的影響、皇帝ピョートル1世による「西欧化」政策とロシアの絶対主義、ロシア・プロイセン・オーストリアによるポーランド分割 |
4 | 10/28 | 西ヨーロッパ諸国の勅許会社の非ヨーロッパ世界への進出と17〜18世紀のグローバル・ヒストリー | イギリス東インド会社(1600年設立)及びオランダ東インド会社(1602年設立)の世界進出が大航海時代末期の《ヨーロッパと非ヨーロッパ世界の関係》に及ぼした構造的変化、17世紀の西ヨーロッパ諸国による世界進出の立脚点としての「重商主義」、フランス絶対王政の「重商主義」政策とフランス東インド会社、北アメリカにおけるフランス植民地(ヌーベルフランス)の発展、17〜18世紀の《インド、アメリカ大陸、太平洋・オセアニア地域での英仏の覇権争い》と《ヨーロッパでの英仏の抗争》の連動、ロシアによるシベリア開拓と北太平洋地域への進出 |
5 | 11/11 | 17世紀におけるヨーロッパと日本 | 17世紀前半のポルトガル・スペインとイギリス・オランダの間の「世界交易ルートをめぐる抗争」が日本に及ぼした影響、1600年代〜1620年代のアジア諸地域でのオランダ東インド会社とイギリス東インド会社の競合関係と両会社の日本への進出、慶長遣欧使節と17世紀初頭のヨーロッパの政治動向との関わり、日本における「キリスト教弾圧の強化」と「スペイン・ポルトガルとの断交政策」についての同時代のヨーロッパ人たちの分析、絶対王政期のヨーロッパ諸国の政治体制と16〜17世紀の日本の政治体制の比較、17世紀〜18世紀初頭のヨーロッパで記述された様々な「日本」論(ベルンハルト・ヴァレニウス、エンゲルベルト・ケンペルらの議論)、ケンペルの『日本誌』と「鎖国」概念の形成 |
6 | 11/18 | 「啓蒙の世紀」のヨーロッパの市民文化と啓蒙絶対主義 | 「啓蒙思想」とは何か、「啓蒙の先駆」としての近代的自然法思想、18世紀の啓蒙知識人(フィロゾーフ)の活躍と「理性」のオプティミズム、「生活革命」とヨーロッパの市民生活の変容、「啓蒙絶対主義」とは何か、プロイセン・オーストリア・ロシアの啓蒙専制君主たちによる「上からの啓蒙」政策とその限界、18世紀の啓蒙絶対主義の枢要課題としての「農政改革と農奴解放」、18世紀ドイツの啓蒙絶対主義と啓蒙主義団体 |
7 | 11/25 | フランス革命の始まり | フランス革命の歴史的背景(旧制度[アンシャン・レジーム]の危機、アメリカ独立革命、フランス王による財政改革、三部会の招集)、革命の勃発、立憲君主主義者による国制改革、1791年憲法の成立 |
8 | 12/02 | 対仏大同盟の成立とフランス革命の推移 | オーストリア・プロイセンによる革命への干渉と戦争の始まり、「革命の危機」と王政の廃止、ジャコバン派による恐怖政治、非キリスト教化運動と理性崇拝、テルミドールのクーデターとジャコバン派の失脚 |
9 | 12/09 | フランス革命の終焉とナポレオン戦争 | 革命末期の混乱と軍司令官ナポレオン・ボナパルトの活躍、ブリュメールのクーデタとナポレオンによる独裁体制の確立、フランス皇帝ナポレオンによる国制改革とヨーロッパ諸国への軍事侵攻、ナポレオンの宗教政策とローマ教皇庁との「政教協約」の締結、ナポレオン戦争の展開とナポレオンによる大陸ヨーロッパの支配、ヨーロッパ諸国における「ナショナリズム」の噴出、ナポレオンによるロシア遠征の失敗とその支配の終焉 |
10 | 12/16 | フランス革命及びナポレオン戦争がアメリカ大陸に及ぼした影響 | 18世紀後半のスペイン・ブルボン朝の啓蒙絶対主義政策と近代的国制改革がアメリカ大陸のスペイン植民地に与えたインパクト、スペイン本国の「重商主義」政策に対するクリオーリョ(現地生まれのヨーロッパ系住民)たちの反感の高まり、ナポレオンによるスペイン侵攻の混乱のなかでのラテンアメリカ諸国の独立運動の始まり、ナポレオン軍によるリスボン侵攻後のポルトガル王室のブラジルへの移転、フランス革命期のフランス領サン・ドマング(ハイチ)の革命と奴隷出身の軍事指導者トゥサン・ルヴェルチュールの出現、「環大西洋革命」論の視点からの《フランス革命》再考 |
講師紹介
- 蝶野 立彦
- 早稲田大学講師、国際日本文化研究センター客員教員
- 早稲田大学第一文学部卒。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程(西洋史専攻)単位取得満期退学。博士(文学)。専門分野は、宗教改革期・近世ドイツ史、ヨーロッパ宗教史。著書に、『十六世紀ドイツにおける宗教紛争と言論統制』(彩流社)、『中近世ヨーロッパの宗教と政治』(共著、ミネルヴァ書房)などがある。