ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
満洲事変前史―関東州と満鉄附属地の歴史
小林 英夫(早稲田大学名誉教授)

曜日 | 火曜日 |
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時間 | 13:10~14:40 |
日程 |
全10回
・10月01日 ~
12月03日 (日程詳細) 10/01, 10/08, 10/15, 10/22, 10/29, 11/05, 11/12, 11/19, 11/26, 12/03 |
コード | 130227 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・満洲事変勃発の原因を考察する。
・関東州の起源とその歴史を理解する。
・満鉄と満鉄附属地の起源と歴史を理解する。
講義概要
1931年9月に起きた満洲事変はその後の日中戦争の遠因となった。本講座では、中国東北をめぐる露・日間の対立、日露戦争の展開から説き起こし、日露戦後の関東州・満鉄附属地の成立と日本統治の開始、1910年代の日本の該地統治の特徴、1920年代の関東庁に依る統治の変化とそうした変化を生み出した張作霖・奉天軍閥の動きを歴史的に跡付ける。特にソ連の実効支配したにあった北満・中東鉄路への張作霖・学良との比較で満鉄附属地の動向・変化を考える。そして1931年8月の満州事変で満鉄附属地がいかなる位置と「役割」を演じたのかを実証する。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 10/01 | 講義開始にあたってー関東州と満鉄附属地の歴史ー | 講義を開始するにあたって、関東州と満鉄附属地の歴史を日露戦争前、日露戦後、1910年代、1920年代に大きく分けてその概説を行い、講義全体の流れを説明する。 |
2 | 10/08 | 中国東北をめぐる日露の抗争と日清戦争 | 開港地となった牛荘(営口)を中心に展開される中国東北の商業経済の深化と日清戦争後の日露の角逐過程を跡付ける。 |
3 | 10/15 | 東進するロシアと鉄道網の拡大、関東州と附属地の誕生 | ハルピン・旅順・大連を起点とした中国東北でのロシアの都市起点化と朝鮮への進出の動き、日本との対立の激化。この間ロシアは鉄道網の拡大と都市建設とともに関東州と鉄道附属地の設定を具体化する。 |
4 | 10/22 | 日露戦争の展開と関東州・満鉄附属地 | 日露戦争の展開とポーツマス講和条約。その結果としての満鉄の誕生と関東州の租借化。該地での日本の占領統治の開始。遼東守備軍の成立と軍政の開始など。 |
5 | 10/29 | 1905年から1909年までの関東州と満鉄附属地 | 関東州の総督府政治から都督府政治への変更と伊藤博文の活躍。そして伊藤の暗殺事件。満鉄の経営開始と後藤構想に基づく附属地経営の展開。大連の都市建設の進行と営口の衰退。 大連拠点主義の具体化。 |
6 | 11/05 | 1910年代の関東州と満鉄附属地 | 大連以外の満鉄附属地都市の建設の進行。例えば奉天や長春など。第一次世界大戦の該地への影響の拡大。中国人商人や鉱工業者の活動の活発化と日本人中小商人や中小鉱工業者を駆逐していく動き。 第一次旅行ブームの到来。夏目漱石の満洲旅行。 |
7 | 11/12 | 1920年代の関東州と満鉄附属地 | 関東州統治機構の関東庁と関東軍への分離。中国人商人躍進の秘密。満蒙独立運動の広がりと日本の動向。関東軍の動向の変化。 |
8 | 11/19 | 1920年代の奉天軍閥 | 日本の反対のなかでの奉天軍閥の関内進出。奉天軍閥の内部対立と郭松齢事件の勃発。張作霖爆殺事件と日本政治の混乱。在満日本人の動き(満洲青年連盟・満鉄社員会・大雄峰会)。奉天軍閥のソ連との戦争と東使鉄道の位置。 |
9 | 11/26 | 満州事変と満鉄附属地 | 満州事変時の満鉄附属地。満鉄附属地の軍事的位置。1932年9月の「日満議定書」と満鉄附属地解消の動き。 |
10 | 12/03 | 関東州・満鉄附属地ーまとめに替えてー | 関東州・満鉄附属地は何だったのかを検討し、まとめにかえる。 |
講師紹介
- 小林 英夫
- 早稲田大学名誉教授
- 1943年東京生まれ。東京都立大学法経学部卒業後、同大学院社会科学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学・東京都立大学)。専門分野は、日本近現代史・東アジア史・産業史。著作に『昭和を作った男 石原莞爾、北一輝、そして岸信介』(ビジネス社)など。