ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
吾妻鏡を読む
新井 孝重(獨協大学名誉教授)
曜日 | 火曜日 |
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時間 | 10:40~12:10 |
日程 |
全10回
・10月01日 ~
12月03日 (日程詳細) 10/01, 10/08, 10/15, 10/22, 10/29, 11/05, 11/12, 11/19, 11/26, 12/03 |
コード | 130221 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・『吾妻鏡』を正確に読む。
・個々の記事を正しく解釈し、意味を理解する。
・鎌倉時代の政治史を考える。
講義概要
『吾妻鏡』は鎌倉時代史を研究するうえで重要な史料です。これを丁寧に読み進めながら、武家政権の政治と武士の暮らしを観察します。源頼朝の幕府創業以来、武家の政権が固まり安定するまで、権力の内部では多くの政変や陰謀事件が起こりました。政変・陰謀にまつわる鎌倉中の合戦や騒動は、『吾妻鏡』に生々しく記録され、それらの歴史的意味をいまに伝えています。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 10/01 | 和田合戦の様相 | 建保元年(1213)和田義盛は突如将軍御所を襲う。北条義時らこれに反撃。和田一党は敗北する。 |
2 | 10/08 | 和田合戦の戦後処理 | 和田残党の捜索を京・西国の御家人へ通達。ついで、和田一族の首を片瀬川辺に梟す。合戦での死者、負傷者多数に及ぶ。 |
3 | 10/15 | 合戦の総括 | 和田合戦討死、負傷者、恩賞のリスト作成。北条氏家来の幕府内での影響力の増大。権力内で構造的変化が推測される。 |
4 | 10/22 | 合戦の余震 | 鎌倉中の不穏な空気。在京武士の参向を禁じ、兵の鎌倉集結を抑止する。大地震が起こる。これ、「兵動あるべき」の前兆と、人びとは怖れた。 |
5 | 10/29 | 不安のなかの「平和」 | 戦火に罹災した将軍御所が再建され、実朝の移徙(いし)が盛大にとり行なわれた。藤原定家は実朝に歌書を送る。こうした中にも地震が頻発する。畠山の子息の謀叛も発覚する。 |
6 | 11/05 | 鎌倉武士の実朝批判 | 謀叛の徒の首をとってきた下野の武士に対し、将軍実朝が、そこまでせずとも、と嘆息した。これをきっかけに、武士は、歌・鞠(まり)にばかり興じる将軍を激しく批判する。 |
7 | 11/12 | 将軍家の日常 | 公家より西国御領の臨時公事を課せらるるにつき、京都側と調整をはかる。実朝、定家より万葉集を贈られる。その際、定家は所領の地頭非法のことを訴える。冬十二月、実朝は幕府吏僚の邸宅にて雪見をし歌を賞す。 |
8 | 11/19 | 将軍家と京都仏教勢力 | 建保2年(1214)初夏、延暦寺衆徒が園城寺に発向、妨舎堂塔を焼く。実朝ただちに堂舎修造を御家人に命ずる。将軍の仏教勢力への姿勢は注目される。 |
9 | 11/26 | 幕府の交通政策 | 初期の鎌倉の交通に関する政策は、海道筋の宿駅の充実におかれていた。この頃からは民間旅人の便に配慮するようになる。諸国の関と渡場の地頭に、旅人の煩いを止めるべきを令す。 |
10 | 12/03 | 京都の思惑、実朝の姿勢 | 後鳥羽院が仙洞歌合一巻を実朝に贈る。後鳥羽院が何故、朝廷文化の一端を実朝に浴せしめたのか。これから以後の政治の展開との関連で注目される。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆パソコン、ボイスレコーダーの持ち込みはご遠慮ください。
◆講義の進捗には多少の遅速が生じ、各回の講義予定が変わることがあります。
◆2024年度春期の同名講座の続きですが、新規受講の方も大歓迎です。
講師紹介
- 新井 孝重
- 獨協大学名誉教授
- 1950年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業、同大大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。専門は日本中世史。著書に『中世悪党の研究』(吉川弘文館)、『東大寺領黒田荘の研究』(校倉書房)、『黒田悪党たちの中世史』(NHK出版)、『日本中世合戦史の研究』(東京堂出版)など。