ジャンル 日本の歴史と文化
早稲田校
『日本書紀』から見る古代の日本
瀧音 能之(駒澤大学名誉教授)

曜日 | 火曜日 |
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時間 | 15:05~16:35 |
日程 |
全10回
・10月01日 ~
12月03日 (日程詳細) 10/01, 10/08, 10/15, 10/22, 10/29, 11/05, 11/12, 11/19, 11/26, 12/03 |
コード | 130210 |
定員 | 30名 |
単位数 | 2 |
会員価格 | 受講料 ¥ 29,700 |
ビジター価格 | 受講料 ¥ 34,155 |
目標
・『日本書紀』とはどのような史料か、実際に読んで確かめる。
・史料を通して、そこから古代の日本を考える。
・史料の読み方を学習する。
講義概要
2020年に成立1300年を迎えた『日本書紀』は、720年、つまり、8世紀の初めに作られました。その8年前には、『古事記』が成立しています。本講座では、日本の正史のトップをかざる書物の1つである『日本書紀』とはどのような歴史書なのかを改めて問い直し、そのうえで、そこから見えてくる古代史像を考えてみたいと思います。『日本書紀』だけからしか、わからないことも多くあり、それらについても解説します。今回は、中大兄皇子の母である斉明天皇の巻から読みはじめます。斉明・天智と続く『日本書紀』でも興味深い内容になるかと思います。
各回の講義予定
回 | 日程 | 講座内容 | |
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1 | 10/01 | 斉明天皇の即位 | 中大兄皇子の母である斉明は、皇極天皇が再び即位して天皇位についた際の名称です。このように一人の人間が二度即位することを重祚といい、日本史の中では特殊な事例になります。これらの点を含めて、日本書紀の記事を解説していきます。 |
2 | 10/08 | 斉明天皇と土木工事 | 斉明天皇は、治水・土木工事を積極的に行った天皇として知られます。皇極天皇だった時代には、そうした工事などはほとんどなく、斉明天皇の時代とは不思議なぐらい違います。こうした相違について、史料に沿って考えてみます。 |
3 | 10/15 | 斉明天皇と蝦夷 | 斉明天皇の時代には、対朝鮮半島外交も積極的に行われますが、それと同時に蝦夷への対策も実施しています。後に白村江の戦いにも参加した将軍、阿倍比羅夫の大遠征について、蝦夷との状況を考えてみます。 |
4 | 10/22 | 斉明天皇と有間皇子の変 | 斉明天皇の時代には、有間皇子の変が起きています。有間皇子は、大化の改新のとき天皇であった孝徳天皇の皇子として知られ、反乱を起こしたとされていますが、実は、皇子自身は反乱を起こそうとしたのではなく、密告によって殺害されたと記されています。この点について、史料から考えてみたいと思います。 |
5 | 10/29 | 斉明天皇と出雲大社 | 出雲大社の創建については、神話時代とされますが、具体的にいつの頃かは、明らかにされていません。1つの説として、斉明天皇の時代と言われております。この点について、日本書紀にどのように書かれているか解説します。 |
6 | 11/05 | 斉明天皇と百済の滅亡 | 斉明天皇の時代には、朝鮮半島の一国である百済が新羅・唐によって滅ぼされるという事件が起きています。これに対して日本は、百済を助けようとしており、これが後の白村江の戦いにつながっていきます。こうした事情について、日本書紀の内容をもとに具体的に読み込んでみたいと思います。 |
7 | 11/12 | 斉明天皇の崩御 | 朝鮮半島との関係が微妙な状況になっているなか、斉明天皇は中大兄皇子や大海人皇子らを引き連れて、朝鮮半島に出兵をしようと出発しました。その途中、九州で崩御してしまいます。その経過について、日本書紀を通して、考えてみます。 |
8 | 11/19 | 天智天皇の称制 | 斉明天皇が崩御した後、中大兄皇子が即位して、政治を行うのが順当と思われましたが、中大兄皇子はすぐに即位せず、皇太子のままで政権を運営します。このように即位せず、政治を執ることを称制といい、日本の古代史の中では、特殊な事例になります。なぜ、天皇にすぐにならなかったのかについて、考えてみます。 |
9 | 11/26 | 天智天皇と白村江の戦い | 新羅・唐によって滅ぼされた百済を助けるために、朝鮮半島に大軍を派遣して、白村江の戦いとなります。日本軍の派遣と朝鮮半島の中で起きた政治状況について、日本書紀がどのように記載しているか考えます。 |
10 | 12/03 | 白村江の戦い敗戦後の天智天皇 | 大軍を派遣した朝鮮半島の白村江の戦いに大敗した天智天皇は、その後の政策について、考えなくてはいけなくなりました。たとえば、近江の大津京への遷都や自らの即位、大野城や鬼ノ城といった山城を各地に建設するなどが上げられます。その経過について、考えてみます。 |
ご受講に際して(持物、注意事項)
◆2024年度春期の同名講座の続編ですが、史料は講師が読んで、解説していきますので、初めての方もご受講いただけます。必要な所は、プリントを配付して補います。
テキスト
テキスト
『日本書紀 (四)』(岩波書店)(ISBN:978-4003000441)
講師紹介
- 瀧音 能之
- 駒澤大学名誉教授
- 1953年北海道生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、明治大学大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)。専門分野は、日本古代史。著書に『出雲古代史論攷』(岩田書院)などがある。