ジャンル 日本の歴史と文化

八丁堀校

吾妻鏡で読み解く鎌倉仏教の役割 「鎌倉の仏教」の視点から

  • 秋講座

菊地 大樹(東京大学教授)

曜日 金曜日
時間 10:40~12:10
日程 全6回 ・10月20日 ~ 12月15日
(日程詳細)
10/20, 10/27, 11/24, 12/01, 12/08, 12/15
コード 230207
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・『吾妻鏡』を通じて、和風漢文の読解に親しみ、入門的知識を身に付ける
・『吾妻鏡』を素材として、鎌倉仏教の基本を理解する
・都市鎌倉に展開した仏教としての「鎌倉の仏教」の特徴を理解する

講義概要

本講座は、近著『吾妻鏡と鎌倉の仏教』(吉川弘文館、2023年)で述べた内容を中心に進めます。『吾妻鏡』は、典型的な和風漢文で書かれています。本講座では、その読み下し文と現代語訳を基本としながら、和風漢文の読解に挑戦していきましょう。
そのうえで、幕府草創から始まり、第六代将軍宗尊親王が京都に送還されるまでを描いた『吾妻鏡』の世界に、鎌倉時代の仏教を入り口として入っていきます。この時代には、天台・真言宗や南都仏教が大きな影響力を持っていましたが、その中から専修念仏や禅、法華経信仰など新たな宗教が次々に生まれてきました。中世都市としての鎌倉に注目しながら、その実態に迫っていきたいと思います。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 10/20 『吾妻鏡』入門 『吾妻鏡』の成立や全体の構造、和風漢文の特徴などの基本的な事項を整理し、参考文献などを紹介しながら「鎌倉の仏教」の意味について考える。
2 10/27 源頼朝の信仰と天下草創 草創期の鎌倉幕府の中に宗教構造が組み込まれていたことについて説明し、源頼朝個人の信仰やその政治的意味について考える。
3 11/24 個人の信仰から都市鎌倉の宗教へ 幕府の発展に伴い、頼朝やその周辺の信仰が徐々に公的な性格を帯びてゆくことを、鶴岡八幡宮の成立を中心に、清水観音や東大寺も視野に入れて考える。
4 12/01 都市鎌倉と天台勢力 新興都市鎌倉には、天台・真言両宗や専修念仏・禅などさまざまな宗派の仏教が勢力を伸ばしてきた。しかし『吾妻鏡』は、とくに天台宗寺門派との関係を強調する。その意味を考えながら、栄西の活動や永福寺・鶴岡八幡宮の発展を見ていく。
5 12/08 日蓮が見た都市鎌倉 鎌倉には、『吾妻鏡』が描こうとしなかった仏教の世界があった。谷戸の世界に入り込み、そこに展開した専修念仏などの活動を、日蓮の視点から考える。
6 12/15 京と鎌倉、そして鎌倉仏教 京と鎌倉の関係を考えながら、将軍宗尊親王送還後も続く後嵯峨院政との関係を、安達泰盛の宗教文化活動なども視野に入れながら考え、まとめとする。

講師紹介

菊地 大樹
東京大学教授
東京大学史料編纂所助手・同准教授・プリンストン大学客員准教授等を経て現在に至る。博士(文学)。日本中世史を基盤に史料調査・フィールドワークを重視し、海外の動向も取り入れた日本宗教史を研究。最近は環境と人間の関係を宗教から明らかにする研究にも取り組む。近著に『吾妻鏡と鎌倉の仏教』『日本人と山の宗教』など。
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