ジャンル 日本の歴史と文化

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戦争とビジュアル報道 戦前の日本・アジア関係を中心に

  • 春講座

貴志 俊彦(京都大学教授)

曜日 水曜日
時間 13:00~14:30
日程 全6回 ・04月05日 ~ 05月17日
(日程詳細)
04/05, 04/12, 04/19, 04/26, 05/10, 05/17
コード 710201
定員 30名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,820
ビジター価格 受講料 ¥ 20,493

目標

・戦争報道におけるメディアの役割を理解する。
・昭和前半期の日本の歴史について、報道メディアから理解を深める。
・ビジュアルメディアのリテラシー能力を高める。

講義概要

日本では、ビジュアルなメディアを用いた報道がいつ始められ、読者にいかに時事情報を伝達したのでしょうか。本講義では、報道に用いられたビジュアルなメディアを軸としつつ、日清戦争期からアジア太平洋戦争直後の占領統治期に至る、約50年間における報道の変容過程を跡づけていきます。とりわけ注目するのは、「戦争」「紛争」がつづく時代における政府、軍部、報道界、国民の関係です。講義は、拙著『帝国日本のプロパガンダ―「戦争熱」を煽った宣伝と報道』(中央公論新社、2022年)に準拠しながらも、論及できなかった問題や引用できなかった図画像を取り上げながら、詳しく解説していきます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 04/05 導入編、授業ガイダンスをかねて 講義の対象、研究の目的や意義、形式について説明したあと、講義テキストや関連する書籍について簡単なブックガイダンスをおこないます。この講義を終了したあとも継続的な学習を進めるためにも、ぜひお聞きください。第1回の最後は、この講義開設のきっかけとなったスタンフォード大学フーブァー研究所プロジェクト“Fanning the Flames: Propaganda in Modern Japan”の概要を説明します。
2 04/12 日清・日露戦争期におけるメディアの変遷 明治政府による富国強兵政策の一環として強行された日清・日露戦争(1894〜1895、1904〜1905)に関連して、当時流行していた錦絵や写真、絵葉書など、戦況を可視化するメディアを取り上げます。また、対戦国であった清やロシアで流行していたビジュアル・メディアについても触れる予定です。
3 04/19 第一次世界大戦期における写真と映像 第一次世界大戦(1914〜1918)が勃発するや、日本軍は中国山東省に進出し、さらにドイツ領南洋群島にも派兵します。報道界は写真を、映画界は萌芽期にあった映画を用いて、戦況をリアルに伝達することで、国民の心を捉え始め、「戦争熱」を高揚させます。当時のビジュアルなメディアから、あまり知られていない日独戦争期の状況について説明します。
4 04/26 戦間期における写真電送 1920年代から40年代まで、戦況写真をいかにすみやかに搬送するかが、報道界にとって重要な課題でした。この回では、実用化に向けて試みられた写真電送について内外の事例をとりあげるとともに、興味深い「フォトレタッチ」についても紹介していきます。
5 05/10 第二次世界大戦期閉塞する報道 太平洋戦争期(1941〜1945)、報道各社は国策への協力に準じ、国家の情報宣伝機関と一体化していきます。戦況ニュースは検閲が強化され、大本営による戦況の発表が一義的となり、根拠(エビデンス)なき戦争報道が「終戦」までつづきます。こうした時代状況とともに、ビジュアルな報道も衰退していくことの意味を考えていきたいと思います。
6 05/17 占領下日本各地の状況 「終戦」とともに、日本の統治はGHQの手に委ねられます(1945〜1952)。戦前の統制と検閲は廃止される一方で、GHQは報道界を占領統治のプロパガンダ戦略に取り込んでいきます。ただ、日本占領の実態は地域によって多様な形をとることになります。各地で公式、非公式に撮られた映像メディアをとりあげ、占領の地域間比較を試みていきましょう。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講は5月24日(水)を予定しています。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆お申込みいただいた有料講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け)
【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)

講師紹介

貴志 俊彦
京都大学教授
兵庫県生まれ。専門:東アジア近現代史。現職:京都大学東南アジア地域研究研究所教授。兼業:東京大学大学院情報学環客員教授、日本学術会議連携会員、日本学術振興会学術システム研究センター主任研究員など。著書:『帝国日本のプロパガンダ――「戦争熱」を煽った宣伝と報道』(中央公論新社)、『アジア太平洋戦争と収容所――重慶政権下の被収容者の証言と国際救済機関の記録から』(国際書院) 、共編著:『視覺臺灣:日本朝日新聞社報導影像選輯』(中央研究院臺灣史研究所)など多数。
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