ジャンル 芸術の世界

オンライン

世阿弥を読む―世阿弥の芸談『申楽談儀』

  • 秋講座

竹本 幹夫(早稲田大学演劇博物館顧問、早稲田大学名誉教授)

曜日 金曜日
時間 10:30~12:00
日程 全10回 ・09月30日 ~ 12月16日
(日程詳細)
09/30, 10/07, 10/21, 10/28, 11/11, 11/18, 11/25, 12/02, 12/09, 12/16
コード 730416
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,700
ビジター価格 受講料 ¥ 34,155

目標

・能楽を深く理解するために、能の大成者・世阿弥(1363〜?)の能楽論を読み進めます。
・世阿弥の芸談『世子六十以後申楽談儀』を通読します。
・世阿弥の言葉から、室町時代の能のあり方を知ると共に、現代の能にも通じる世阿弥の思想を深く理解することを目指します。
・毎回プリントを配布し、それをテキストとして読み進めます。

講義概要

『申楽談儀』は、能の大成者であった世阿弥の息男・七郎元能による、世阿弥の芸談の筆録です。本書は世阿弥に深く影響を与えた先人たちの芸風と批判、能の演技の基本、謡の本質について、能の作者について、そのほか全31ヶ条からなります。隠居の身ながら後進の指導に余念のなかった世阿弥が説いた能芸の真髄です。世阿弥に直接会って聞くかのような迫真力に満ちた一書です。世阿弥のその他の著作にはない、豊かな具体性を備えているのが本書の魅力です。今回は前回からの続きで、能の物まね論と謡についての論を中心に、具体的な作品に即して論じます。いずれも現代の能・謡のあり方に通じる点が少なくない魅力的な芸論です。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/30 前回までのふりかえり 導入のために、世阿弥と能の歴史、世阿弥の能楽論の特質、世阿弥の現代的意義、これまで読み進めてきた部分についての概説を行います。
2 10/07 第三条よろづの物まねは心根 能の詞章が演技に対して持つ意味が「心根」です。詞章と演技との関係論にはじまり、〈浮船〉〈隅田川〉〈通小町〉〈高野物狂〉〈船橋〉などの諸曲のかんどころ、その他一般的な演技の心得などを論じた一段を読み進めます。比較的長い一条なので、次回まで持ち越す可能性もあります。
3 10/21 第四条どつと云ふ位・第五条声の事 前回の「よろづの物まねは心根」の条の続きと、名人の位がいかにレベルの高いものかを述べた「どつと云ふ位」、演技に熱中する余り思わず出てしまう「や」という掛け声を、大向こう受けを狙って演技中にやることの浅ましさを批判する「声の事」を読みます。この2ヶ条は短小ながら、現代の能にはあり得ない芸の姿が紹介されているという点で、興味深いものがあります。
4 10/28 第六条音曲のこと・第七条祝言は呂の声にて謡ひ出だすべし ここからしばらく世阿弥の音曲論(謡についての論)が続きます。世阿弥の音曲論は現代の謡にも通じる面が数々あって、これまでは難解とされてきましたが、実は非常に明快で、有意義な論です。理想的な発声のあり方や種類、新来の謡である曲舞と大和猿楽本来の小歌の区別などの本質論、祝言謡とは何かという、これも本質論の2ヶ条を通読します。
5 11/11 第八条曲舞と小歌の変り目 前々条でも言及していましたが、観阿弥が当時流行の曲舞という芸能から輸入した新しい謡である曲舞(現在のクセにあたる)と、観阿弥以前より伝来してきた大和猿楽古来の小歌との違いに関する論です。現代ではこの両者は融合して区別がつかないように聞こえますが、実は現代でも大きな違いがあります。世阿弥の時代にもその融合はかなり進んで、両者の本質を理解しない謡い手が多く出て来たことに対する世阿弥の危機感が表出している一段です。
6 11/18 第九条ただかかり也・第十条文字訛り節訛り 「かかり」とは芸風や作風、演技の姿など、多様な様式に用いられる言葉ですが、「謡にとってかかりとは」という出だしに始まり、謡のかかりの諸例を、具体的な名人たちの芸風に即して説明する一条と、謡を謡うときに本来のアクセントとは違ってしまうという、謡の訛りについて論じた一条で、いずれも世阿弥の謡論にとっては基本的かつ重要な問題だったようです。現代の歌でも、作曲により歌詞の本来のアクセントが変わってしまっていることは多々あります。そのような現象に着目・注意喚起した恐らくは最古の論でもあります。
7 11/25 第十一条拍子の詰め開き・第十二条心根を知る 「拍子の詰め開き」は、いわゆる八拍子と呼ばれる謡の拍子扱いについての説で、現代の地拍子論との違いを見ることで興味深い結果が得られます。「心根を知る」は『申楽談儀』中でも最大の長さを持つ一条で、何度かに分けて読み進めます。この回では、謡の本質を極めるという意味の「心根を知る」ことを考察します。『風曲集』(ふうぎょくしゅう)という世阿弥の音曲論と深い関連を有する一条でもあり、そのことの意味についても論じます。
8 12/02 第十二条心根を知る(承前) 横の声・竪の声という発声の二大別と、そのあり方の違い、〈班女〉〈右近〉〈松風〉〈重衡〉〈初瀬六代〉などの具体的な作品に即しての発声の微妙な使い分けの論を紹介し、その具体的な内容について考察します。
9 12/09 第十二条心根を知る(承前)・第十三条位の事 前条の続きで、謡を謡う上での細やかな心遣いの数々をこれも具体例に即して論じた一条と、謡の位について、これも『風曲集』に即しながら、同書には記されていない具体例の数々(〈松風〉や〈芦刈〉など)を当時のエピソードを交えながら語る一条です。本条で音曲論が終了となります。
10 12/16 まとめ これまでのまとめとして、『申楽談儀』の音曲論の重要性、世阿弥の音曲論の特色を要約して説明します。また次回以降、能作論やその他の歴史的なエピソードの条々に移っていきますが、それらについての概説も述べたいと思います。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講は、12月23日(金)を予定しております。
◆毎回プリントを配布し、それを教材とします。プリント入手の方法は下記の「オンラインでのご受講にあたって」をご覧下さい。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。
◆本講座の動画は、当該講座実施の翌々日(休業日を除く)17:30までに公開します。インターネット上で1週間のご視聴が可能です。視聴方法は、以下をご確認ください。 
【会員】授業動画の視聴方法(会員向け) 
【ビジター・法人会員】授業動画の視聴方法(ビジター・法人会員向け)

講師紹介

竹本 幹夫
早稲田大学演劇博物館顧問、早稲田大学名誉教授
博士(文学)。専門は日本中世文学、とくに能。1980年より実践女子大学文学部専任講師、後助教授。1987年より早稲田大学文学部助教授のち教授(〜2019)。2004年、同大演劇博物館館長(〜2012)。2019年より早稲田大学名誉教授。主著に『観阿弥・世阿弥時代の能楽』(明治書院1999)、『風姿花伝・三道』(角川書店2009)他。
  • 外国語 コースレベル選択の目安
  • 広報誌「早稲田の杜」
  • オープンカレッジ友の店