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ケルト文化の「自然と生命」をよむ ― 異教の伝承から近代芸術思想まで

  • 夏講座
  • 資料配付

鶴岡 真弓(多摩美術大学 芸術人類学研究所 所長・大学美術館 館長)

曜日 土曜日
時間 10:30~12:00
日程 全4回 ・07月03日 ~ 08月28日
(日程詳細)
07/03, 07/24, 08/21, 08/28
コード 720308
定員 90名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 11,880
ビジター価格 受講料 ¥ 13,662

目標

・2800年前の鉄器時代からヨーロッパの古層を築いた「ケルト文化」は「生きとし生けるもの」との共存を問う「自然観」と「死生観」を伝えてきた。
・中世と19世紀末のアイルランド他の「復興」で蘇った思想的キーワードによって理解し、ケルトの「自然観・死生観」を取り込んだ芸術(文学から建築まで)の「自然と生命」の主題を文字(ことば)と図像(イメージ)両面からよみ解く。

講義概要

全4回前半【中世】は1「アーサー王」における「剣(金属利器)を自然界に返す」秘跡。2「フィンの神話」の「動物からの知恵の獲得」における野生と人間の交流をよみ解く。後半【近代】3&4はケルト系アメリカ人建築家ライトがなぜケルトの自然崇拝に親しんだのか。19世紀エマソンの『自然について』やソローの『森の生活』からの影響と、ケルトの古代宗教との親和性と共に明らかにする。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/03 「アーサー王伝説」の結末をよむ:アーサー王の剣(金属の利器)はなぜ「大自然」に返されたのか 世界の人々に親まれている「アーサー王伝説」の「結末」のエピソードは謎に包まれている。「アーサー王の剣エクスカリバー」は「湖の乙女」に「返される」。その「返却」の思想は、ヨーロッパの古層の鉄器文明を紀元前に築いた「ケルト」の「金属の利器」に関する「生命観」に深くかかわっていた。
さらにまたこの「結末」は、ケルトと他のインド=ヨーロッパ語族の神話と比較するとき、ケルト文明が、私たちも分有する「ユーラシア神話」に繋がりをもっていることを浮かび上がらせる。
ブリテン諸島出土の「剣」と、ユーラシアの比較神話学を横断して、アーサー王の剣の謎をよみ解く。
2 07/24 アイルランド「フィンの神話」:「知恵」は動物から授けられる ケルトの自然観・死生観は、「生きとし生けるもの」への畏れ敬いを背景にもっている。アイルランドのケルト神話を代表する、首領フィンをめぐるエピソードには、その観念が豊かに打ち込まれている。 なかでも人間に決定的な知恵を授けるのは、人間ではなく「野生=動物」である。 長じて首領となるフィンが、古代ケルトの賢者・祭司ドルイドのもとで修業中に起こったその体験は、何を意味したのか。そしてどのような「自然生命の循環」を表現しているのか。 さらに「動物」のみならず「植物」の力は、ケルトの伝統文化において、どのように意味づけされていたかをよむ。
3 08/21 ケルト系アメリカの建築家ライトの有機思想 20世紀アメリカ建築界の巨匠フランク・ロイド・ライトは、ウェールズからの移民を祖とするケルト系の血統をもち、『自伝』に記したように、誇り高い「ドルイドの家系」であることを、生涯の生き方と思想に秘めてきた。 ライトのトレードマークとなる「有機的建築」思想に、ケルトの自然観と神秘的再生思想は、いかに象嵌されていたか。 生涯の館&教育現場となる、アメリカ合衆国北東部の緑野と西部の砂漠の、2つの「タリアセン」が負った運命と展開を通して、「ライトの内なるケルト」をよみとく。
4 08/28 ライトとアメリカの自然思想と信仰 (第3回から続)一方、ケルト系フランク・ロイド・ライトの「自然思想」は、19世紀アメリカ最初の哲学者エマソン(『自然について』)の知と信仰、ソロー(『森の生活』)の自然観に影響を受けた。アメリカの雄大で荒々しい大自然のなかに、人間は如何なる「棲み処」を打ち立てる(建てる)ことができるのか。
その「自然的なもの・有機的なもの」の思想と実践・制作を内奥で支えた「ケルトのドルイド的思想」の交点を、『自伝』のテキスト他を通してよみ解く。
そして「その先」に、彼が日本のために設計した「帝国ホテル・ライト館」の特異なデザインとマテリアルの由来も見えてくるだろう。「西洋の限界」を解き放つライトの思想は、ケルトから日本にまで貫かれていた。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆休講が発生した場合の補講は、9月4日(土)を予定しております。
◆Zoomウェビナーを使用したオンライン講座です。
◆『ケルトの想像力 ―歴史・神話・芸術―』(青土社)や、『ケルト 再生の思想』(ちくま新書)の内容を中心に講義いたします。
参考図書として同書をお読みいただけると、より理解が深まります。
◆お申込みの前に必ず「オンラインでのご受講にあたって」をご確認ください。

備考

◆無料体験会での本講座の講義動画を公開しました。
(再生すると音が出ます。視聴の際はご注意ください。)

講師紹介

鶴岡 真弓
多摩美術大学 芸術人類学研究所 所長・大学美術館 館長
1952年生。早大大学院修了。ケルト文化芸術研究。『ケルト/装飾的思考』『芸術人類学講義』(編)(筑摩書房)『ケルトの想像力』(青土社)『装飾する魂』『ケルトの魂』平凡社,『ケルトの歴史』(共著 河出書房新社)『ケルズの書』(訳 岩波書店)等著訳書多数。『ケルト再生の思想』(ちくま新書:河合隼雄学芸賞)。

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