ジャンル 文学の心

中野校

日本文学と恋愛

  • 夏講座
  • 資料配付

柴田 勝二(東京外国語大学教授)

曜日 火曜日
時間 15:00~16:30
日程 全6回 ・07月23日 ~ 09月03日
(日程詳細)
07/23, 07/30, 08/06, 08/20, 08/27, 09/03
コード 320108
定員 24名
単位数 1
会員価格 受講料 ¥ 17,496
ビジター価格 受講料 ¥ 20,120

目標

・古典から近現代にいたる日本文学において恋愛はどのように描かれてきたかを理解する。
・文学に描かれる恋愛と現実世界における恋愛の差違を捉える。
・西洋と日本における恋愛観の差違の背景にある社会的、宗教的な基底を考える。

講義概要

明治時代になって日本人は「恋愛」という観念を知るようになったとされるが、古代から近世に至る時代においても日本人は恋愛をし、それが多くの文学作品の主題ともなってきた。近代において北村透谷らキリスト者によって主張されたのはキリスト教を背景とする「精神的恋愛」であったが、現実に近代文学に描かれる恋愛はむしろそれを相対化する様相を呈している。現在では恋愛を異性間の地平に限定すること自体に疑問も呈されているが、こうした変容を示してきた恋愛をめぐる言説と表現の姿を捉えていきたい。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 07/23 古典文学における恋愛(1) ── 『万葉集』『伊勢物語』『源氏物語』 『万葉集』『伊勢物語』『源氏物語』といった、主に奈良、平安期の作品を取り上げ、そこに描かれる男女の駆け引きと肉体交渉を内実とする恋愛の姿を眺め、とくにそこに底流する、平安時代の貴族社会に特有の「みやび」という美意識のあり方を捉える。
2 07/30 古典文学における恋愛(2) ── 近松門左衛門、井原西鶴、為永春水 近松門左衛門、井原西鶴、為永春水といった江戸時代の作家たちの作品に描かれる恋愛の様相を概観し、そこに現れている男女関係の特質を考える。その際この問題を考察した九鬼周造『いきの構造』を参照し、江戸時代特有の「粋」という価値観を把握する。
3 08/06 近代文学における恋愛(1) ── 鴎外・一葉・紅葉 明治時代になって「恋愛」という観念に焦点が当てられることになったのは、北村透谷らキリスト教文学者たちの言説によるところが大きい。彼らの主張を概観するとともに、立身出世的な功利主義に覆われるようになった明治20年代における、鴎外、一葉、紅葉らの恋愛を描く作品を眺め、同時代の恋愛の言説との落差を考察する。
4 08/20 近代文学における恋愛(2) ── 漱石・自然主義・白樺派 漱石作品には様々な恋愛模様が描かれるが、特徴的なのはそこにおける男女関係がしばしば日本と外国との関係の寓意的な表現になっていることである。それに対して自然主義や白樺派の作品では、性欲が発露する場として男女関係が描かれがちである。こうした明治期から大正期にかけての恋愛の表象の様相を捉えていく。
5 08/27 近代文学における恋愛(3) ── 谷崎と川端 谷崎潤一郎は女性崇拝的な男女関係を繰り返し描いたが、その世界においては女性は多く自然の生命の具現として現れる。川端康成の世界においてもそれは同様だが、谷崎よりも女性たちはより他界性を帯びている。一方両者ともに、男性を都市の文明社会に生きることで疲弊した人間として描くことが多い。こうした表現に託された彼らの近代批判を探っていく。
6 09/03 近代文学における恋愛(4) ── 現代作家たち 現代の若者は恋愛をしなくなったと言われるが、反面村上春樹の『ノルウェイの森』がベストセラーになったように、恋愛に対する憧れも根強い。またLGBTの扱いに見られるように、同性愛に対する許容度も近年高まっており、松浦理恵子のように積極的に同性愛を描く作家もいる。こうした現代における恋愛の現象とそれを描く作品を眺めていく。

講師紹介

柴田 勝二
東京外国語大学教授
1956年兵庫県生まれ。大阪大学大学院(芸術学)博士後期課程修了。博士(文学)。明治から平成に至る近代文学を中心として、日本文学を幅広く研究している。著書に『三島由紀夫 魅せられる精神』、『漱石のなかの〈帝国〉――「国民作家」と近代日本』、『中上健次と村上春樹』などがある。

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