ジャンル 文学の心

早稲田校

「レ・ミゼラブル」物語と思想

  • 秋講座
  • 資料配付

西永 良成(東京外国語大学名誉教授)

曜日 月曜日
時間 13:00~14:30
日程 全10回 ・10月01日 ~ 12月10日
(日程詳細)
10/01, 10/15, 10/22, 10/29, 11/05, 11/12, 11/19, 11/26, 12/03, 12/10
コード 130145
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,160
ビジター価格 受講料 ¥ 33,534

目標

春学期では、ユゴーの名作『レ・ミゼラブル』の全体像を、主に時代背景、作者の伝記的な事実との関連から説明し、合わせてこれを原作とした数編の映画を参照しました。秋学期では、この波瀾万丈の物語を支えている思想、人生哲学に触れたいと思います。この作品は一九世紀フランスで書かれたものですが、いまなお古びない考えや言葉がふんだんに散りばめてあります。物語の醍醐味を確認しながら、二一世紀の私たちの時代を予見するような、意外な考察を発見したいと思います。

講義概要

『レ・ミゼラブル』は冒険小説、歴史小説、政治小説、恋愛小説を内包する「全体小説」です。しかもこの作品は作者が全身全霊を傾けた畢生の大作で、ユゴーの人間観、人生観、社会観、世界観など、すべてがあると言っても過言でありません。そこで、全五巻のうち各巻に二回ずつ講義を割り振り、物語という具体的な状況をとおして、この文豪の深い人生哲学をみていこうと思います。順番は第一巻「ファンチーヌ」:貧困と人間の矜持。第二巻「コゼット」:善悪と教育および宗教の役割、第三巻「マリユス」:個人の愛と社会道徳、第四巻「プリュメ通りの牧歌とサン・ドニの叙事詩」:正義と政治活動、第五部「ジャン・ヴァルジャン」:死生観と「無限」の観念。また、従来からこの小説は名言・至言の宝庫とされているので、もちろんこれも忘れずにとりあげます。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 10/01 第一巻「ファンチーヌ」:貧困と人間の矜持 ユゴーが貧困という社会問題をどうとらえ、その撲滅の必要を訴えているか紹介・解説します。
2 10/15 第一巻「ファンチーヌ」:貧困と人間の矜持 ミゼラブルとは物質と同様精神の貧しさをさす言葉です。ユゴーは個人の尊厳を重視する立場から、貧困にたいする人間の矜持、それに伴う義務をときますが、その具体的な論拠を説明します。
3 10/22 第二巻「コゼット」:善悪と教育および宗教の役割 ユゴーは人間の悲惨と悪は無知から生じると考えます。そこで、教育の問題がとくに重要になってきます。これは彼の「進歩」の思想と不可分のものであることを解説します。
4 10/29 第二巻「コゼット」:善悪と教育および宗教の役割 人間の人格形成は教育だけではなく、宗教も深く関わってきます。そこで、教育と宗教の関係、それぞれの役割を考察することが大事になります。ユゴーは一九世紀フランスの焦眉の問題として提示しましたが、今日の私たちにも示唆に富んでいることを解説します。
5 11/05 第三巻「マリユス」:個人の愛と社会道徳 この作品が恋愛小説として読まれるのは、コゼットとマリユスの「ロミオとジュリエット」的な純愛が語られているからです。これは結局、悲恋には終わりませんが、それはジャン・ヴァルジャンの犠牲においてです。ここではユゴーの恋愛観を解説します。
6 11/12 第三巻「マリユス」:個人の愛と社会道徳 ユゴーはもちろん恋愛の自由を肯定しますが、それをさまたげる社会道徳、社会的規範・偏見についても深い洞察をめぐらせます。ここでは社会道徳と法律のあり方をめぐる彼の意見を紹介します。
7 11/19 第四巻「プリュメ通りの牧歌とサン・ドニの叙事詩」:正義と政治活動 ユゴーは詩人・作家であるとともに政治家だったので、「正義」の実現を訴えつづけました。彼の唱える社会主義的共和主義とはどのようなものか解説します。
8 11/26 第四巻「プリュメ通りの牧歌とサン・ドニの叙事詩」:正義と政治活動 「正義」の実現のためには政治的な力が必要です。だが、この力は暴力に転化することがあります。彼はこの政治的暴力を「蜂起」と「暴動」に区別して、前者をときに不可避だと認めますが、後者は断固斥けます。その理由を解説します。
9 12/03 第五部「ジャン・ヴァルジャン」:死生観と「無限」の観念 ジャン・ヴァルジャンの人生は苦難と試練の連続ですが、最後は安らかに死を迎えます。これはどのような死生観をユゴーがもっていたからなのかということを考察します。
10 12/10 第五部「ジャン・ヴァルジャン」:死生観と「無限」の観念 ユゴーの死生観のうち、もっとも重要なのは「無限」という観念です。これは必ずしもキリスト教の神の概念ではなく、ときには東洋的な輪廻の思想に近づきます。そのことを例証してみたいと思っています。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆講義は日本語で行うので、フランス語の知識は特に必要ありません。
◆参考図書としては、西永良成著『レ・ミゼラブルの世界』(岩波新書)を指定させていただきます。また、講義中で取り上げるテクストはヴィクトール・ユゴー『レ・ミゼラブル』(全五巻、ちくま文庫、西永良成訳)の抜粋ですが、現在入手困難な巻もあるので、コピーを配付します。

テキスト・参考図書

参考図書
『「レ・ミゼラブル」の世界』(岩波新書)(ISBN:978-4004316558)

講師紹介

西永 良成
東京外国語大学名誉教授
1944年富山県生まれ。東京大学仏文科卒業後、パリ大学修士・博士課程で学ぶ。東京外国語大学でフランス語、フランス文学を教授。著書に『激情と神秘―ルネ・シャールの詩と思想』(岩波書店)、『「レ・ミゼラブル」の世界』(岩波新書)他、訳書にユゴー『レ・ミゼラブル』(ちくま文庫)他多数。
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