ジャンル 現代社会と科学

早稲田校

戦争の視(sight) 近現代における視覚文化の力学を読む

  • 秋講座

向後 恵里子(明星大学准教授)

曜日 金曜日
時間 13:00~14:30
日程 全10回 ・09月28日 ~ 12月14日
(日程詳細)
09/28, 10/05, 10/12, 10/19, 10/26, 11/09, 11/16, 11/30, 12/07, 12/14
コード 130720
定員 30名
単位数 2
会員価格 受講料 ¥ 29,160
ビジター価格 受講料 ¥ 33,534

目標

・戦争という社会的かつ具体的な事象を、視覚文化の側面から考察します。これは、視覚文化の政治的・社会的側面へ注目し、戦争にまつわる視覚イメージ作用について考察するこころみです。ゆえに、講座の主眼は、戦争とはなにかではなく、戦争がいかに表象されたか、そこで夢みられたもの・隠されたものはなにかという問いに置かれます。
・したがって、講座の最終的な目標は、戦争と視覚文化の織りなす様々な局面を検討を通したイメージの力学の考察とともに、私たちの社会への再考および、そこで見えるもの・見えないものについての新たな批評的視点の涵養です。

講義概要

戦争は、多様な視覚文化とともにあらわれます。戦場写真、照準映像、絵画作品、ポピュラーな娯楽……虚実の輻輳するこの戦争のイメージ群は、総力戦以降の時代において、個人と社会をむすぶ想像の力学を発揮します。探求のキーワードは、戦争の〈視(sight)〉です。sightは視覚や景色、見ること、そして照準という意味をつなぎます。戦争に人はなにを見、そして、なにを見なかったのか——戦争と視覚文化をめぐる問いを、ここからはじめましょう。

各回の講義予定

日程 講座内容
1 09/28 イントロダクション:戦争の〈視(sight)〉について考えるということ 講義全体のイントロダクションとして、戦争の〈視(sight)〉について考えるということの導入を行います。
2 10/05 戦争のイメージ:描かれる・写される・複製される戦争(メディアとリアリティ) 戦争がいかに描かれ、写され、そして複製されてきたかについて、具体的な事例をふまえて歴史的に概観します。
3 10/12 敵/味方(プロパガンダとステレオタイプ) 敵と味方、とくに敵の姿の逆照射としてあらわれる味方のイメージ形成を通して、戦争の視覚文化を考える基礎となるプロパガンダとステレオタイプについて学びます。
4 10/19 男/女(戦時下のジェンダー) 社会にもとめられるジェンダー・ロールは、戦時にあってはとくに強く要請されました。そこでは男女ともに戦争の遂行にいかに役立つかが重視されます。兵士としての男性と対比しながら、とくに女性の役割について分析します。
5 10/26 見る天皇-見られる兵士(御真影とまなざしの統治) 明治期の日本においては、それまで見えない存在であった天皇が、公に「見られる」存在、そして兵士を「見る」存在へと変貌しました。天皇は大元帥であり、その〈見る-見られる〉関係におけるまなざしの統治について考察します。
6 11/09 血の力(戦う身体) 戦場の兵士は、血を流すことをいとわない、戦う身体に自らを形成せねばなりません。血を流す肉体はしかし、戦争遂行の意志を破綻させ得るものです。その血と肉とが戦場の美学のうちにどのように位置づけられ得るのか、命尽き果てるまで戦うものである〈武士〉のイメージをキーに考察します。
7 11/16 祖国のための甘美な死(死生観と精神の動員) 戦闘の先にまつのは、凱旋か死——それも勇壮な死です。肉体とともに、死は常に戦場の大問題でした。とくに兵器の発達によって可能になった大量死を前に、人々はどのように戦死を馴致したのか。前線の死が銃後の生を包含し、いかに精神を動員していったかについて分析します。
8 11/30 祝祭の帝国(時間の再編、たたかう国民の形成) 戦勝の報は、なによりもよろこばしい祝祭の空間を現出しました。華やかで誇らしく、感動さえする、そのような祝祭空間で醸成されてゆく時間の観念と、国民としてのセルフ・イメージを探究します。
9 12/07 記念と忘却(戦争の記憶) 戦争が終わって、その経験は徐々に薄れていきます。戦争を想起する、また忘却すること——ここに記憶のポリティクスが生じてきます。過去の戦争をいかにイメージするのか、その今日的課題を含めて考察します。
10 12/14 まとめ:ふたたび、戦争の〈視(sight)〉について考えるということ 講義全体のまとめとして、ふたたび、戦争の〈視(sight)〉について。これまでの視点を総合しつつ、戦争と視覚文化における虚実の輻輳から、視覚イメージの限界と可能性、ひるがえって人の想像力のいとなみの限界と可能性について考察します。

ご受講に際して(持物、注意事項)

◆予備知識は必要ありませんが、近現代の戦争および美術や視覚文化のおおまかな流れに興味をおもちであると理解が深まるでしょう。
◆視覚情報のスライドを多用いたします。たくさんの視覚イメージに触れることを楽しんでいただければと思います。

テキスト・参考図書

参考図書
『 敵の顔 憎悪と戦争の心理学 』(柏書房)(ISBN:978-4760111190)
『イメージのなかの戦争 日清・日露から冷戦まで』(岩波書店)(ISBN:978-4000083317)
『戦争と映画 知覚の兵站術』(平凡社)(ISBN:978-4582762952)
『 イメージ、それでもなお アウシュヴィッツからもぎ取られた四枚の写真 』(平凡社)(ISBN:978-4582702620)
『他者の苦痛へのまなざし』(みすず書房)(ISBN:978-4622070474)
『戦争と美術』(国書刊行会)(ISBN:978-4336061164)
『定本 想像の共同体:ナショナリズムの起源と流行』(書籍工房早山)(ISBN:978-4904701089)

講師紹介

向後 恵里子
明星大学准教授
早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。専門は日本近代美術史、視覚文化論、表象文化論。論文「日露戦争の美術:戦争画・従軍画家・美術国」(『近代画説』26)、共著『木口木版のメディア史』(勉誠出版)、『ゆれるおっぱい、ふくらむおっぱい:乳房の図像と記憶』(岩波書店)等。
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